ラグジュアリーミニバンとして圧倒的な強さを見せているトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」だが、その人気モデルをもってしても、トヨタが行っている「販売チャンネルの一本化」「販売車種半減」の大波には逆らえないようだ。
弊誌では、2020年5月の販売チャンネル一本化を受けて、アルファードかベルファイアのどちらかが消滅する……とお伝えしてきたが、その最新情報が入ってきた。
販売現場に情報網を持つ流通ジャーナリストの遠藤徹氏がお伝えする。
文/遠藤徹
写真/TOYOTA、編集部
【画像ギャラリー】2020年1月6日発売の一部改良されたアルファード/ヴェルファイアをチェック!!
■形勢逆転のアルファード。1本化で消えるのはヴェルファイアが有力
トヨタの最強ラグジュアリーミニバン「アルファード/ヴェルファイア」両姉妹車は、2020年5月のトヨタ全車全系列店併売化に伴い、どちらかに1本化する方向で調整が進められている。
2019年1~12月の登録実績は、アルファードが6万8705台で前年比16.8%増と好調なのに対して、ヴェルファイアは3万6649台、同15.0%減と明暗を分けている。こうしたことから1本化するのはアルファードで、ヴェルファイアはモデル廃止となる可能性が強まっている。
2017年までは販売実績が逆であり、ヴェルファイアは一貫してリードしていた。それが2017年末に実施したマイナーチェンジで2018年以降、アルファードの登録台数がヴェルファイアを大幅に上回る推移となっている。理由はフロントマスクの違いである。
2015年販売台数 アルファード:4万4366台 ヴェルファイア:5万4180台
2016年販売台数 アルファード:3万7069台 ヴェルファイア:4万8982台
2017年販売台数 アルファード:4万2281台 ヴェルファイア:4万6399台
2018年販売台数 アルファード:5万8806台 ヴェルファイア:4万3130台
2019年販売台数 アルファード:6万8705台 ヴェルファイア:3万6649台
それまでアルファードの顔立ちは一般的おとなしめのデザインで仕立てていたのに対して、ヴェルファイアは若者ユーザーを意識して押し出しの強いワイルド感があり、かつ個性的なマスクを強調したデザインでまとめ人気をアップさせてきた。
ところが2017年末に実施したマイナーチェンジでは、こうした路線を変えて今度はアルファードのマスクを目立つワイルド感を強調したデザインとし、ヴェルファイアはおとなしめの顔立ちに改めた。これが販売で両モデルが逆転する有力な要因のひとつとなった。
■2020年は全店併売化、次期型登場は2021年以降の可能性
もともとアルファードが先に発売になり、数年遅れてヴェルファイアが発売になったいきさつから1本化する場合は、アルファードに統合するのが筋という見方もある。ただヴェルファイアをなくし、アルファードだけのラインアップに集約するかというと、完全にそうだともいえない側面もある。
ネーミングは「アルファード」に1本化するものの、ヴェルファイア独自の顔立ちを中心にしたデザインやワイルド感のあるグレードは改良型アルファードのラインアップのなかに組み込むといった手法を採用する可能性もある。こうした仕立て方は、今後実施するマイナーチェンジやフルモデルチェンジのなかで採用することが考えられる。
これまで扱い店はアルファードがトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店のそれぞれ専売であったのを2019年12月18日の一部改良を機に、2020年初めからアルファードはトヨペット店とトヨタ店、ヴェルファイアはネッツ店とカローラ店のそれぞれ併売態勢に変更した。
これまでトヨタ店とカローラ店は「エスティマ」というスタイリッシュなラグジュアリーミニバンがあったが、同モデルが2019年末をもって生産中止になったので、両系列店にアルファードかヴェルファイアを扱わせ商品ラインアップのバランスを取ったといえる。
ただこのアルファードへの1本化は、全国的にトヨタ車の全店併売となる2020年5月時点では、とりあえず両姉妹車を存続させたまま全店併売でスタートし、その後の推移を見ながら最終的に決定する公算が強い。両姉妹車の現行モデルの登場は2015年1月26日であり、すでに5年が経過している。
次期型にバトンタッチするのは2021年か2022年初めあたりになりそう。その時点ではほぼ確実にアルファードへの統合が実現するはずである。こうなると販売台数は両姉妹車を合わせた月販8000台規模と圧倒的に強力なラグジュアリーミニバンが出現することになる。
コメント
コメントの使い方