【メーカーとユーザーが乖離】凋落のトリガーを引いた国産名車5選

スバルレガシィ(5代目)

販売期間:2009~2014年

2009年デビューの5代目は、レガシィシリーズがすべて大型化されて既存のユーザーをがっかりさせた。これも北米重視の弊害だ

 第5世代のレガシィは2009年にベールを脱いだ。セダンのB4、ツーリングワゴンとアウトバックともに北米を意識して全長を4700mmより長くし、全幅も1800mmに迫る広さとしている。

 また、パワーユニットも4代目まで主役を務めた2LのEJ20型水平対向4気筒を廃したのだ。代わって主役の座に就いたのは2.5LのEJ25型である。トランスミッションも新開発の無段変速機(CVT)リニアトロニックとなった。

 が、一番衝撃を与えたのはスタイリングと質感だ。エクステリアは大味なデザインで、日本のスバリストが好むデザインじゃない。

 また、インテリアもコストダウンが目立ち、安っぽかった。ソフトパッドは樹脂の打ちっ放しになり、トリムも4代目と比べるカネがかかっていないことがはっきりわかるものだった。

4代目レガシィシリーズは歴代で初の3ナンバーボディとなったが、大きなネガにはならなかったどころか、走行性能、快適性のアップにより大人気となった

 先代のBL/BP型がカッコよく、質感が高いとわかっているから多くの人は乗り換えなかった。また、ファンが多かった2Lエンジンが整理されたことに不満をあらわにする人も多かったのである。

 走りの実力も「BMW」を相手にしていた4代目までと違い、足の動きが重い。当然、実用性能を重んじる北米ではヒットしたが、日本ではケチョンケチョンにけなされ、販売は低迷している。

 この5代目の失敗によってレガシィの神話は崩れ、今では街で見かけることも少なくなった。いい客層の人たちに愛されていた名門ブランドだけに悔しいとしか言いようがない。

三菱パジェロ(3代目)

販売期間:1999~2006年

空前の大ヒットモデルとなった2代目の後を受け、3代目はユーザーを満足させるために豪華かつ大型化した結果、大きく販売を落とし存在感も薄れた

 三菱ジープで培った高い技術力とタフさを武器に誕生したのがパジェロである。洗練されたスタイリングからもわかるように新世代のクロスカントリー4WDだった。

 パリ・ダカールラリーでも大活躍したから、日本だけでなく海外でも大ヒットしている。

 初代モデルは62万台を超える生産を記録し、1991年に2代目にバトンを託した。キープコンセプトだったが、4WDシステムを進化させたことに加え、快適性を大幅に高めたから、こちらもファン層を広げることに成功している。

初代でクロカン4WDとして認知されたパジェロ。1991年に投入した2代目がクロカンブームの火付け役となり、飛ぶように売れたという表現がピッタリだった

 パジェロの3代目は1999年に登場した。

 ボディ骨格をビルトインモノコック構造とし、リアにはマルチリンク式の独立懸架を採用。快適性をさらにアップしている。

 パワーユニットもGDIと呼ぶV型6気筒の直噴ガソリンエンジンと直噴ディーゼルターボを搭載した。

 メカニズムは素晴らしかったが、それをぶち壊しにしたのがデザインだ。流行を追い過ぎたグラマラスなボディはケバケバしいデザインで、2代目までの清楚なルックスとは程遠い。

 当然、ファンは敬遠し、パジェロを真似たランドクルーザープラドにSUVの代名詞の称号を奪われている。これ以降は凋落の一途をたどり、2018年に日本での販売を打ち切った。本当にもったいない話だ。

2019年をもって日本での37年の歴史に終止符を打つことになったパジェロ。ファイナルエディションは700台の限定で販売された

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