レクサス最強の証「F」モデルの苦悩と打開策 超性能なのになぜ存在感が希薄?

Fモデルの苦戦が既存モデルにも影響!?

 しかしこのようなことが一般ユーザーに伝わっているのだろうか? レクサスにとってスポーツは何か? ということが今ひとつ浸透していないような気がする。

 ひとつには御三家に比べてモータースポーツに関わる歴史が浅いことが挙げられると思う。

 BMW はその昔シュニッツァーなどとともにグループAなどツーリングカーのレースに積極的に参戦していた。

GS Fのポテンシャルは疑いようもないが、2015年にデビューして以来、販売面では苦戦が続いていて、存在感も希薄なのが残念

 あの時代はそのレースに出ることによって性能を磨き一般車両にフィードバックされる技術もたくさんあったので、メーカーとしてもレースに参加する意味があった。

 ニュルブルクリンク24時間レースのようなほぼ一般車両で走行するレースならもちろんそこからフィードバックできる技術的なものがあるだろう。

 しかしそれ以外のカテゴリーでは、レースを走るクルマそのものが一般車両とはかけ離れていて、そこから吸収できるノウハウはそれほど多くはない。

 それでもレースを行うことによるパブリシティ効果は大きなものがある。レクサスも日本のスーパー GTを長く戦ってきたが、ここに来てレーシングモデルをトヨタのスポーツブランドであるGRに置き換えたのだ。

トヨタは2020年のスーパーGTには、レクサスLCに代えてGRスープラで参戦を開始。トヨタはそのほかのカテゴリーでもスープラでの参戦に積極的だ

 今はヤリスやスープラといったトヨタのスポーツモデルを前面に出すべきとの判断だろう。こうなってくるとレクサスFモデルの方向性、つまり立ち位置を考え直す必要がある。

 レクサスにはFモデルの流れを汲むFスポーツというモデルが存在する。

 この方式はBMWのMスポーツ、メルセデスのAMGオプション、アウディのSモデルと同じように、メインとなるFシリーズのエクステリアやインテリアにフォーカスしたモデルで、真のスポーツモデルではない。

 その流れは今やSUVのNXやRXにも及び、フルラインFスポーツとなっている。当然Fシリーズの苦戦がFスポーツを設定している既存のモデルにも影響することが予想されるのだ。

レクサスは下はUXからトップのLSまでフルラインFスポーツとして人気が高いが、Fシリーズの不振が今後の販売に及ぼす影響は無視できない
RC Fの中古車にも注目!!

プレミアムスポーツとしてパワーアップと4WD化は必須

 レースからも距離を置いたFシリーズがドイツ御三家と対等に戦うにはどうすればいいのだろうか?

 やはりさらなるポテンシャルアップにほかならないと思う。

RC FはGT3が製作されたりとレースに関しても積極的だが、世界的に見て成果を上げているとはいいがたい状況で、イメージ的にも損をしている

 まずは現在のヤマハの技術が採用されている5.0L、 V8 自然吸気エンジンのさらなるパワーアップだが、ハッキリ言ってこのエンジンは捨てがたいほどにレスポンスが速く、さらにサウンドがいい。

 サウンドはスピーカーを使ったアクティブ・サウンド・コントロールなのだがこの音質は維持したい。

 そして現行V8をツインターボ化して600psオーバーを達成する。さらにこれだけのパワーは現在のFRでは耐えられないので4WD化を行うのだ。

 4WDシステムはRAV4で採用されたダイナミックトルクベクタリングAWDを応用して、アクティブなトルクベクタリングを行い異次元のコーナリングを達成する。

 トルクベクタリングではこれまでにもGS Fに標準装備されていた電子制御のTVDがあるが(RC Fはオプション)、さらに軽量でシンプルなダイナミックトルクベクタリングAWDをパワーに対応するチューンを施して装備。

RAV4は3種類の4WDシステムをラインナップしていて、そのトップに君臨するダイナミックトルクベクタリングAWDのFシリーズへの投入に期待がかかる
GS Fの中古車にも注目!!

次ページは : 究極のFであるLFAの軽量化技術を投入すべき

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