トヨタが現実不可能に挑戦!? 国内各メーカー[2025年の動向]

トヨタが現実不可能に挑戦!? 国内各メーカー[2025年の動向]

 「一寸先は闇」という言葉が、2025年の自動車産業には特に当てはまる。キーを握るのは、自らを関税男と称するアメリカのトランプ大統領。そして各社が模索する販売戦略。闇の中を手探りで進む各社の2025年の動向を予想してみよう。

※本稿は2025年1月のものです
文:中西孝樹、ベストカー編集部/写真:トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバル、三菱、スズキ、ダイハツ
初出:『ベストカー』2025年2月10日号

CES 2025においてプレゼンテーションを行うトヨタの豊田章男会長。ウーブン・シティはトヨタ得意のHEVやPHEVをアピールする場となるか?
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日本の自動車産業の命運を握る「関税男」

CES 2025においてプレゼンテーションを行うトヨタの豊田章男会長。ウーブン・シティはトヨタ得意のHEVやPHEVをアピールする場となるか?
CES 2025においてプレゼンテーションを行うトヨタの豊田章男会長。ウーブン・シティはトヨタ得意のHEVやPHEVをアピールする場となるか?

 2025年は非常に不透明である。トランプ関税に対する懸念は強い。ただ、目先の大きなリスクとなるのはメキシコへの高関税であり、それ以外は交渉次第で回避できる可能性がある。

 一方、トランプ2.0がもたらす米国経済のノーランディング・シナリオ、円高リスクの後退、環境規制緩和などは国内自動車産業にポジティブな効果をもたらす。HEVとEVの両方を推進できる日本車メーカーに勝機がある。

 2024年は国内認証制度における不正、不適切事案が連鎖した。その中でトヨタとグループ企業のコンプライアンスとガバナンスの問題が大きく浮上した。

 10年先へ持続的成長を継続するため、トヨタは自らの働き方を改革し、グループ体勢を固める「足場固め」の一年となったわけだ。

 その成果とともに2025年は新しい成長戦略に打って出てくるだろう。

 トヨタはソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)のバリューチェーンを拡大し製造業では実現不可能な高い目標である「20%レベルのROEを目指すべきではないか」という課題に挑戦していくだろう。

 2025年1月のラスベガスにおけるテック見本市(CES)へ6年ぶりに復帰しウーブンシティの進捗を発表する。そこで実証するサービスや製品をトヨタは得意とするHEVやPHEVに搭載していく考えである。

国産メーカーの2025年度中間決算
国産メーカーの2025年度中間決算

 マツダはEV市場変調を迎え、「アセットライト」へ戦略転換を発表済みだ。アライアンスを活用し、自らの投資負担を避けながら電動化のビルディングブロックを進める。

 集大成として、次期SKYACTIV-Zエンジン、次世代の自前HEVとEVが2027年に揃う。2025年は踊り場と位置付けられる。最大のリスクはメキシコの高関税と環境規制の対応費用にある。

 スバルも2024年に電動化戦略のアップデートを実施した。電動化関連投資額(約1.5兆円)の内、自前の国内電池工場に4600億円、国内EV専用工場に4500億円の合計9000億円以上を投資する計画だ。

 マツダのアセットライトとは対照的な自前主義を目指す。米国市場環境が安定化に向かい、日米の関税リスクを回避できるとすれば、意外に2025年は健闘できる年に転じる可能性がある。

 三菱自動車も日米の関税リスクを回避できるなら健闘が期待できる。フィリピン、ベトナム市場の好調が持続するなかで、ここまで極端に落ち込んでいたタイ市場がエクスパンダーハイブリッドやエクスフォースなどの新型車効果でいち早く回復へ転じる期待がある。

 スズキは特出した好業績が続く見通しだ。インドと国内軽自動車の採算改善がけん引する。インフレ圧力を受けた消費者の生活防衛に苦しんだ軽自動車市場にも明るい兆しが見え始めた。

 2025年は持続可能な成長基盤を構築する重要な年である。インド子会社のマルチ・スズキはハリヤナ州のカルコダ新工場が稼働を開始。インド400万台体制に向けたスタートを切る。3月には2030年までの成長戦略と、株主還元強化を含めた財務戦略を公表する見通しだ。

 ダイハツ工業はブランドと企業再生に向けた正念場を迎える年となる。インドを中心にスズキとトヨタの関係は一段と強まってきた。トヨタのASEAN事業はダイハツ抜きには成立しない。再生を果たし、トヨタグループの中核企業としてその責務を果たしていかなければならない。

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