先月、ほぼ同じタイミングで登場した「トヨタ ヤリス」と「ホンダ フィット」。どちらも受注状況は絶好調のようで、国産コンパクトカー界隈をザワつかせている。
このヤリス・フィットとガチンコ競合となる「日産 ノート」もモデルチェンジが噂されているが、年内にデビューとされており、この新型ノートが出るころには、コンパクトカー需要はひと段落してしまうのではとも思える。
出遅れる形となる新型ノートに勝算はあるのだろうか。
文:吉川賢一、写真:日産、トヨタ、ホンダ
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次期型ノートが後出しで勝つために実現すべきこととは?
現行ノートは、2017年・2018年・2019年と、昨年までの三年連続で、年間で最も売れたコンパクトカーだ。2018年には、アクア・プリウスをおさえて登録車販売台数でトップとなっている。
それだけ、ユーザーに認められたクルマなのだ。そんなノートが新型になってもヒットするためには、現行ノートが持っている魅力は強化し、弱点を消すといった、地味ではあるが、愚直に良いクルマを仕上げていくしかない。
では、具体的にはどういった点を作り込んでいけばよいのだろうか。
ノートが守るべき魅力と、変えるべき点とは?
【守るべき魅力】 実燃費の良さ、5ナンバーサイズ、バリエーションの豊富さ
現行ノートのメリットのひとつが、実燃費の良さだ。信号の多い街乗りであっても20km/Lは下らず、高速走行や信号が少なければ、30km/Lに届くかのような燃費をたたき出すことができる。
41L程度の給油タンク容量なのに、100km走行した直後の航続可能距離が、800㎞と出たのには驚いた。
新型ヤリスHYBRIDは世界トップレベルの36.0km/L(WLTCモード)、新型フィットe:HEVも27.2~29.4km/L(WLTCモード)を達成しており、新型ノートにもWLTCモード燃費で30km/L以上を期待したい。
またボディサイズは3ナンバー化をせずに、5ナンバーサイズで収めることだ。3ナンバーサイズであっても慣れれば大きさを気にならなくなるものだが、数字の上で5ナンバーを超えてしまったインパクトは大きい。
「VWポロだって全幅1750mmで3ナンバーだけど?」というエンジニアサイドの声も理解するが、ここは日本だ。足元である日本市場でしっかりとブランドが根付くよう、5ナンバーサイズは死守していただきたい。
そして、現行モデルには、ベースモデルの他にシーギア、NISMO、オーテック、LVというバリエーションがあるが、このバリエーションの豊富さも守っていただきたい。
昨今は、アウトドアのクロス系に人気がある。そうしたモデルもしっかりとカバーしてほしい。
【直すべき点】 発電時のエンジンノイズ低減、インテリアの質感向上、進化型プロパイロット搭載
販売の8割を占めるe-POWERであるが、このe-POWERのエンジンノイズはかなりよろしくない。
乗ったことがある方にはお分かりいただけると思うが、e-POWERのエンジン発電時には、まるで芝刈り機のような盛大なエンジンノイズが聞こえてくるのだ。
日産も認識しているようで、上級グレードであるメダリストには、発電時のエンジンノイズの遮断が念入りにされている。
コストが優先される下位グレードでは、遮音材や吸音材を省きたくなるのは分かるが、そこはメーカーの技術力の高さをアピールするところだ。
例えば、「メダリスト並の遮音性能を、ベース並の価格で実現する」、こうした課題が与えられれば、日産の優れたエンジニア達であれば達成可能なはずだ。
走りの質感をどこまで高められるかは、このエンジンノイズやロードノイズをどこまでカットできるかにかかっている。
インテリアの質感や、プロパイロットの搭載は、外野がごちゃごちゃ言わずとも、やっていただけるだろう。現行ノートのインパネやメーター周りなどは、他メーカーと比較すると、明らかに古いテイストでつまらない。
VWゴルフのように、デジタルメーターを標準搭載せよ、とは言わないが、見せ方次第で魅力的になるはず。次世代の日産インテリアに期待したい。
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