ホンダの「新型フィット」が好調な売れ行きを見せているが、ネット上の質問箱などを見ると、新型フィットとフリードで悩んでいる人が一定数いるようだ。
自販連が発表している販売台数を見てみると、2020年2月は新型フィット:8221台、フリード:7320台。売れてはいるのだが、フリードは販売台数ランキングで1月の6位から、2月は10位まで落ちた。
これは新型フィット登場による共食いの影響なのか? それともたまたまなのか? 販売の現場を取材し、新型フィットとフリードが住み分けをきちんとできているのか? ホンダの屋台骨「フリード」減速の原因を探る。
文/遠藤徹
写真/編集部、HONDA
【画像ギャラリー】新型フィットとフリードで人気のSUVテイストモデル「クロスター」の詳細を紹介!!
■新型フィットで人気の「クロスター」と新HVシステムが鍵
本来であれば「新型フィット」と「フリード」はコンセプトが異なるので住み分けは可能なはずだった。
「フィット」は、コンパクトハッチバックタイプ車の代表格でユーザー層は独身の若い男女、子供のいない若いカップルのファミリー、子供が独立したシニア世代などが中心になっている。
これに対して、フリードは両側スライドドアで3列シート6~7人乗りのコンパクトミニバンである。ユーザー層は子育てファミリーが中心であり、フィットとは異なる。
ところが、最近までのモデル展開で様子がかなり違ってきているのは確かである。フィットがフルモデルチェンジし、商品力を大幅に引き上げ、中心の1.5Lハイブリッドは従来の1モーター&2クラッチ方式から2モーター方式に切り替え、低燃費と高性能の両立を高次元で両立させた。
さらにSUVテイストの「クロスター」を設定し、遊びグルマ的なコンセプトを盛り込んで仕立てている。こちらも比較的人気が高く、受注構成比はシリーズ全体の25%程度を占めている。
一方、フリードはどうか。シリーズ全体の50%程度を占める1.5Lハイブリッドは、従来の1モーター&2クラッチのまま。2016年9月16日には2列シート5人乗りの「フリード+(プラス)」をラインアップに加えた。これは2列シートだから、3列目シートがない分荷室スペースが広く取れ、遊びクルマに向いており、若い独身男女に浸透している傾向がある。
また、2019年10月18日にはマイナーチェンジして新グレードの「クロスター」を設定した。新型フィットと同じ名称であり、SUVテイストの遊びクルマ的な仕立てをしている。こうした両車種のモデル展開はお互いのニーズに食い込み合い、ある種住み分けを難しくし、ユーザー層がダブル実態となって表面化しているともいえる。
違いは、両側スライドドア派かヒンジ開閉ドア派かということになる。フィットのハイブリッドは2モーターになり、高性能&低燃費を高次元で両立させた。こちらに魅力を感じるユーザーが、フリードからフィットへの乗り換えをして、フリードのユーザーを食うという現象を生じさせる状況に繋がっている。
コメント
コメントの使い方