■値引きはフリード有利も新型登場までは住み分け困難
車両本体は、新型フィットが155万7800~253万6600円に対して、フリードは199万7600~301万8400円、フリード+は218万2400~304万400円であり、約45万円程度の差がある。
平均的な値引き額はナビ、ETC付きだとフィットが10万円程度なのに対してフリードは25万円強であり、実質的には約15万円分差が短縮する。最近は残価設定クレジットによる購入法が多くなっており、これを活用すれば両モデルの1カ月あたりの支払額はかなり接近しているといえるだろう。
今後の展開はどうなるか。フリードは2022年秋にもフルモデルチェンジし、次世代モデルにバトンタッチする。この時点でメインとなるハイブリッドユニットは、フィット同様に2モーター方式に切り替えられ、さらにレベルアップした低燃費&高性能の高次元での両立を目指して開発を進めるに違いない。
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ハンズフリーオフのスライド開閉ドアの採用など使い勝手の向上、自動運転支援装置、安全パッケージ「ホンダセンシング」のさらなる進化を盛り込んだ仕立てをするだろう。こうなるとフィットとのコンセプト分けはかなり明確になるから、以前のような住み分けが明確になるものと思われる。
■販売担当がもらしたフリード苦戦のワケ
●証言1:首都圏ホンダカーズメーカー資本営業担当者
フィットは、コンパクトクラスを代表する5ドアハッチバックモデルで、今回のフルモデルチェンジで大幅に商品力をアップさせたので、引っ張りだこの人気となっている。
今契約すると納期は3カ月待ちの2020年6月下旬以降となっている。購入してくれるお客さんは、今のところ歴代フィットオーナーが圧倒的に多く、次いでフリード+、フリードなどの自銘柄、他銘柄ではヴィッツ、ノート、デミオなどのライバル車が目立つ。
購入者の層に関しては、独身の男女、若いカップルで占められている。これに対してフリードは子供の小さいヤングファミリーが主であるから、フィットとの棲み分けはできていると思う。
ただ、フリード+のお客さんで、1.5Lハイブリッドが2モーターになったことで、燃費や走りを好む方もいるので、新型フィットハイブリッドに乗り替えたお客さんが少なからずいることは確かだ。
しかしながら、フリードやフリード+もあと2年くらいすれば、フルモデルチェンジしてハイブリッドは新型フィット同様に2モーターを採用するのはほぼ確実であるから、その時は逆に歴代フィットから次期型フリードに乗り替える客さんが増えると予想している。
●証言2:首都圏ホンダカーズ地場資本店営業担当者
新型フィットは確かに商品性が高く、ハイブリッドが2モーターになったことで、ライバルのヤリスとは互角以上に戦えるようになった。
フリードは、マイナーチェンジしても1モーター&2クラッチ方式のままだから、ハイブリッドとしては見劣りがするので、最近は売れ行きが悪くなっているのは確かだ。このため商談のなかで両モデルのどちらかを検討していたお客さんがフィットのほうに決めるケースはある。
また両車種に「クロスター」モデルが設定されているが、受注構成比はフィットが25%程度と比較的高いのに対して、フリードは10%と低い。フィットがすぐ下の上級グレード「ネス」に対して5万円くらいのアップなのに対して、フリードはひとつ下のグレードよりも40万円も高いという価格設定の問題もある。
営業マンにとっても売り易いほうから手を付ける傾向があるので、フィットを優先させてしまう。数年後には、フリードもフルモデルチェンジして2モーターになるので、その時は両モデルのコンセプト分けがより明確になり、食い合うような事態は多少なくなると予想している。それまでは新型フィットが好調に売れ、フリードが苦戦するような明暗は続くのではないだろうか。
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