■ランエボ&インプSTIとどう違う!? プロトタイプに乗った国沢光宏がヤリスGRを徹底解説
(TEXT/国沢光宏)
ランエボやWRX STIとヤリスGRの決定的な違いは、「スケベ根性の有無」でございます。
改めてランエボの歴史を考えてみたい。初代はギャランより小型&軽量のランサーにハイパワーエンジンと4WDを載せた純粋なスポーツモデルだった。ベースモデルのフルモデルチェンジでエボIVになるけれど、依然としてWRCで勝つべく進化をさせている。
しかし。ランサーセディアベースのエボVIIから純粋さを失っていく。大型化&肥満化だ。
セディアベースになるや、競技車両ベースとなるRSの重量は1260kgから1320kgになる。エンジンや駆動系、サスペンションの進化により、性能的な低下をせずにすんでいるものの、ピュアさを失っていく。
決定的になったのがエボX。ベースモデルの販売台数を稼ぐため、競技車両なんかどうでもよくなってきた、と言い替えてもよかろう。
大型化&肥満化でRSは初代と比べ160kgも重い1420kgに。結果的にWRCでの戦闘力を失い、三菱自動車のブランドイメージ低下を招く。
状況はWRXもまったく同じ。初代GC8、ヤリスGRと同じく、WRCで優れたリザルトを残すため開発された。素晴らしくピュアなモデルだったと思う。続くGDBは重く&大きくなったものの、エボIVと同じく車体バランスを考えれば、ちょうどよかったかもしれない。実際、スバルのWRCにおける名声はGDBによるものだ。
ところがモデルチェンジで市販車の使い勝手を優先してしまう。そもそも5ドアハッチバックしか作らなかったこと自体、大失敗だった。リアサス、てんでダメ!
GRBをベースに作ったWRカーはまったくよいトコロがありませんでした。実用性を重視すれば売れる、と思ったのだろう。
それとは違う。ヤリスGRはすべての基本スペックを「WRCで高い戦闘能力を持つこと」に定めた。
大英断です。すでに初期モデルの段階でエボXや現行WRXと同等のパフォーマンスを見せている。遠からず圧倒的な速さを見せてくれることだろう。
もうランエボとWRXは思い出のクルマになりました。
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