スズキ100年史に残る隠れた実力派! “軽じゃない”名車 5選

スズキ100年史に残る隠れた実力派! “軽じゃない”名車 5選

 アルト、ワゴンR、ジムニー、さらには商用トラックのキャリイなど、スズキといえば、まず軽自動車というイメージが強く、実際、軽自動車市場で優れたモデルを売り続けてきた。

 しかし、スズキの名車は軽自動車だけにあらず! いや軽自動車での経験があったからこそ、そのノウハウを生かした魅力的な登録車を数多く生み出している。

 2020年で100周年を迎えたスズキの“軽じゃないほう”の名車は、隠れた実力派揃いなのだ。

文:片岡英明
写真:SUZUKI、編集部

【画像ギャラリー】今年で100周年! スズキ“軽自動車の”名車


カルタス/1983年誕生

1986年、初代モデルに追加設定されたスポーツハッチのカルタス 1300 GT-i

 1981年1月、スズキは世界一の自動車メーカー、ゼネラルモーターズと業務提携を結んだ。そして1983年にGMのボトムを担う世界戦略車(Sカー)として送り出したのがカルタスである。

 最初はベーシックに徹していたが、1986年に硬派のボーイズレーサー、「1300GT-i」を投入した。

 エンジンはアルミブロックのG13B型直列4気筒DOHC4バルブで、クラス初の油圧ラッシュアジャスターを採用。

 デビュー時は97psだったが、1987年にエキゾーストマニホールドなどを変えて110psにパワーアップし、リアサスペンションもリーフリジッドに代えてトーションビームとする。

写真は3代目カルタスの上位機種として誕生したクレセントワゴン。カルタス最後のモデルとして、惜しまれつつ2002年に生産終了

 1988年9月に第2世代にバトンタッチし、キュートなフォルムに生まれ変わった。「GT-i」のG13B型エンジンはハイオク仕様になって115psを発生する。その気になれば8000回転まで回るが、実用域のトルクも細くはない。

 ハンドリングはアンダーステアが強めだが、ジムカーナでは常勝を誇ったし、ダートトライアルでも速かった。

スプラッシュ/2008年誕生

まさに隠れた名車というべき存在がスプラッシュ。全長3715×全幅1680×全高1590mmという小型なサイズながら欧州仕込みでレベルの高い走りを備えていた

 日本で設計され、ハンガリーのマジャール・スズキで生産された欧州戦略車だ。2008年秋、逆輸入の形で日本に導入された。

 2代目スイフトよりホイールベースは30mm短い。背を高くして大ぶりなシートにアップライトな姿勢で座れるようにしたから運転もしやすかった。

 シンプルだが、センスのいいインテリアも好印象である。ワンタッチで後席を畳めるなど、荷室も使いやすく工夫されていた。

 ベースは素性のよいスイフトだから走りは軽快だ。1.2Lの直列4気筒DOHCエンジンに副変速機付きCVTの組み合わせだが、優れたドライバビリティを披露した。

 ハンドリングもスポーティな味わいだ。ただし、女性ユーザーをターゲットにしながら初期モデルは低速域で乗り心地が硬かった。

 後期モデルでは改善したが、すぐ上にできのいいスイフトがいたし、立体駐車場にも入れづらいから販売は伸び悩んでいる。が、コンパクトカーの秀作だ。

スイフト/2000年誕生

現在まで続くロングセラーのスイフト。その端緒となったのが2代目モデルだ。ホットハッチのスイフトスポーツを含め、国産屈指の実力派コンパクトだった

 2000年に発売したスイフトは、世界中にファンを持つ世界戦略車だ。日本だけでなく海外での生産台数も多い。軽自動車をベースにした初代モデルは、SUV的な性格が注目を集めた。

 が、スイフトが輝きを増すのは、2004年秋に登場した2代目からだ。ゼロから開発を行い、走りも欧州テイストを狙ったから爽快なドライブフィールを身につけている。エンジンは1.2Lの直列4気筒DOHCからスイフトスポーツが積む1.6Lまで多彩だ。

 1.2Lモデルでも不満のない動力性能で、実用燃費もいい。ハンドリングと乗り心地の妥協点も高かった。

 スイフトスポーツは、パンチのある加速を見せ、締め上げたサスペンションによるダイレクトなハンドリングも走り屋好みだ。

 2代目スイフトは発表から4年足らずで累計生産100万台を達成し、世界が認めるコンパクトカーになる。世界ラリー選手権のジュニアWRCでも活躍した。

 2011年暮れに登場した3代目は、気持ちいい走りに磨きをかけ、これもヒット作となる。

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