RAV4 PHV「人気SUVにPHV追加で先進性訴求」
RAV4は1994年に初代モデルを発売した。この時は5ナンバーサイズのコンパクトなシティ派SUVで、価格も割安だったから、クルマ好きの多かった当時の若年層の間で人気を高めた。
ところがこの後、フルモデルチェンジを行う度にボディが拡大され、売れ行きが下がった結果3代目で国内販売を終えた。4代目RAV4は、国内では売られていない。
ところが約3年の空白期間を経て、2019年に5代目の現行RAV4が復活した。以前と同じく海外向けだが、5代目の外観にはオフロードモデルの雰囲気もあり、SUVの原点回帰を感じさせる。
ハリアーとは異なる魅力が備わり、共存できると判断された。SUV需要の拡大もある。国内新車販売総数に占めるSUV比率は、2005年頃は4~5%だったが、2019年頃には14~15%に達していた。
そこで5代目RAV4を改めて発売すると、価格が比較的高い割に好調に売れた。一番の人気の理由は、先に述べた水平基調で角張った外観だ。野性味と存在感が強い。
エンジンは直列4気筒2Lのノーマルタイプと2.5Lハイブリッドで、前者はコストを抑えやすい。駆動方式は4WD中心で、悪路を含めた走りの良さを訴求している。
このRAV4のイメージに沿って、2020年6月にはPHV(プラグインハイブリッド)を加えた。トヨタのPHVはプリウスに次いで2車目だから、RAV4を環境性能を訴求する基幹車種に位置付けている。
RAV4・PHV・G(4WD)の価格は469万円だ。4WDのハイブリッドGが約389万円、4WDの2.0Gが約326万円だから、PHV・Gは2.0Gに比べて143万円高い。
それでも駆動用リチウムイオン電池の容量は18.1kWhと大きく、充電された電力だけで95kmを走れる。前輪側のモーターは最高出力が182馬力、最大トルクは27.5kg-mで、RAV4ハイブリッドの120馬力・20.6kg-mを大幅に上まわる。
つまりRAV4・PHVは、RAV4ハイブリッドに充電機能を加えたクルマではなく、走行性能まで向上させた。RAV4のイメージリーダーであり、MIRAIと並んでトヨタの電動車の先進性をアピールする存在でもある。
大人気のRAV4に先進的なプラグインハイブリッドを組み合わせることで、トヨタ全体のブランドイメージを高めることもねらっている。
新型キックス「売れ筋e-POWER&小型SUVテコ入れで国内投入」
日産は2011年以降、日本国内で発売する新型車を大幅に減らした。背景には2008年に発生したリーマンショックがある。そして新型車を積極的に投入していた最終世代に該当するのが、2010年に発売されたコンパクトSUVの初代ジュークであった。
初代ジュークは個性的な外観でヒット作になり、2019年にようやく2代目にフルモデルチェンジしたが、直列3気筒1Lターボエンジンの搭載など欧州向けに発展した。2代目ジュークは日本では販売されず、その代わりにコンパクトSUVのキックスを投入する。
キックスは海外では2016年に登場しており、新型車ではない。それでも日本で売るのはe-POWER搭載車のみだから、グレードとしては設計が新しい。
本来なら新型ジュークを日本にも投入すべきだが、日産はそこまでの投資はできないと判断した。だからといって、好調に売れて粗利も相応に高いコンパクトSUV市場から撤退するのも惜しい。
そこでタイ工場で生産されたキックスe-POWERを輸入販売することにした。e-POWERは日産の代表技術で、燃費規制でも有利に展開する。
今の国内市場における日産車の凋落を見ると、遅きに失した印象もあるが、遅ればせながらキックスの導入となった。
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