ヴィッツよりもリアの居住性は明らかに劣化
それにしても従来型ヴィッツからヤリスへのフルモデルチェンジは、一種の「賭け」だったという見方もできる。ヤリスにフルモデルチェンジされて、ヴィッツよりも劣化した機能があるからだ。
ヤリスで劣化した機能の筆頭は後席の居住性だ。
身長170cmの大人4名が乗車した場合、ヴィッツの後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ分だったが、ヤリスは1つ少々に減った。着座位置も異なり、ヤリスはヴィッツに比べると腰が大きめに落ち込む。
この変化を開発者に尋ねると、「ヤリスはヴィッツに比べて、前後席に座る乗員同士の間隔が37mm縮まった。後席の床と座面の間隔も、ヤリスはヴィッツに比べて32mm減っている」という。
そのためにヤリスの後席は、ヴィッツに比べて足元空間が狭まり、腰が落ち込んで膝は持ち上がる。しかもヤリスでは、サイドウィンドウの下端をヴィッツよりも後ろに向けて大きく持ち上げた。この影響でヤリスの後席は、狭い上に閉鎖感も強い。
ヤリスはヴィッツに比べて、後席の乗降性も劣化した。
ヤリスのリア側のドア開口部は、上端部分が下降している。そのために乗降時に頭を下げる度合いが大きい。足元空間も狭まったから、乗り降りする時の足の取り回し性もよくない。
購入時の注意ポイント
荷室の床面積は大差ないが、ヤリスではリアゲートを寝かせたために背の高い荷物も積みにくい。
運転感覚では、ヤリスが前述のようにサイドウィンドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたから、ドライバーの後方視界も悪化した。
最小回転半径は、ヴィッツでは14インチタイヤが4.5~4.7m、15インチは4.8mだったが、ヤリスは14インチが4.8m、15インチは5.1mと、後方視界に加えて、小回り性能も少し悪くなった。
以上の変化を踏まえると、ヴィッツからヤリスに乗り替える時は、後席の快適性と乗降性、荷物の積みやすさ、後方視界と小回り性能に注意したい。後方視界などは、縦列駐車や車庫入れを行うと、ヤリスがどの程度劣化したかを把握できる。
ヤリスでは1.5Lエンジンを刷新
いっぽう、ヴィッツからヤリスに刷新されて向上した機能も多い。その代表は走行性能と乗り心地だ。
直列3気筒1Lエンジンは従来型と共通だが、直列3気筒1.5Lのノーマルタイプとハイブリッドは新開発された。
ヴィッツの1.3Lと1.5Lは直列4気筒、ヤリスは3気筒だから高回転域のノイズは少し粗くなったが、遮音を含めて音量は小さくなっている。
ヤリスの新しい1.5Lエンジンは実用回転域の駆動力が高く、3気筒化で軽くなり、安全装備を充実させながら車両重量はヴィッツの1.3Lと同等だ。加速力はヤリスが活発になっている。
コメント
コメントの使い方