デリカD:5はなぜ堅調に売れる?
デリカD:5が根強い人気を得ている要因として、大きくわけて筆者には3つの理由が浮かぶ。
(1)オンリーワンの存在だから
冒頭に書いたように日本で買える「ミニバンに軸足を置きながら、SUVの要素も強く持つクルマ」というのはデリカD:5だけである。
またクルマに限らずほとんどの商品にはライバルがあり、「代わりになる商品もある」のが普通だ。
しかしジャンルは別にして日本で買えるクルマでデリカD:5と同様のオンリーワンのクルマは、「ライトウエイトオープン2シーターFRのマツダロードスター」、「現実的な価格のFRスポーツクーペのトヨタ86&スバルBRZ」、「軽&小型本格オフローダーのスズキジムニー&ジムニーシエラ」、「マルチパフォーマンススーパーカーの日産GT-R」くらいのものだ。
こういったクルマはアップル社のパソコンやアイフォンのように、「文句があっても、代わりになるものがないから欲しいならそれを買うしかない」というライバル不在の商品だけに、ニッチな市場にせよ一定数は売れるものだ。
(2)超ビッグマイナーチェンジでの商品力の劇的な向上
デリカD:5が超ビッグマイナーチェンジ前からオンリーワンの存在だったのは事実ながら、自動ブレーキ&運転支援システムがまったくなかったため万人向けとは言えず、オーバーに表現すれば「マニア向け」と言わざるを得なかった。
それが超ビッグマイナーチェンジで「最新」とか「完璧」とまでは言えないにせよ、自動ブレーキ&運転支援システムが付いたことで、大きな弱点も一定まで改善されれば一気に魅力を増し、デリカD:5も少なくない気になっていた人が一気に有力な選択肢としたに違いない。
(3)以前からミニバンとしても魅力があった
デリカD:5はビッグマイナーチェンジ前からシートに厚みがあることなど、ミニバンとしてだけ見ても魅力があった。
また標準モデルと中身は同じながら都会的なエクステリアを持つアーバンギアが追加された点も、デリカD:5を普通のミニバンとして使う層には小さくない後押しとなったと言えそうだ。
なぜ他社はデリカD:5のジャンルに参入しない?
デリカD:5の販売台数が象徴するように、「ミニバンに軸足を置きながらSUVの要素も持つクルマ」の市場はニッチである。
こういったニッチな市場でオンリーワンとなっているクルマは、前例がないだけに相当のリスクを覚悟して新たなジャンルを開拓しており、成功すれば高いブランド力を持て、孤高のような存在となる。
そのためよほどのことがなければ孤高のような存在を負かすのは難しい。それは「後追いがたくさん出たけど、結局残っているのはロードスターくらい」というライトウエイトオープン2シーターがいい例だ。
デリカD:5もロードスターと同じように高いブランド力を持っており、そこに参入してもデリカD:5を負かすのは難しく、その割に市場が大きいわけでもないのを総合すると、他社は参入しにくい。
若干最低地上高を挙げたクロスオーバー的なバリエーションを加えるのがせいぜいではないだろうか。と考えるとデリカD:5は当面安泰とも考えられそうだ。
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