世界を代表する高級サルーンの「飽くなき進化」に驚愕 ベンツ6代目Sクラス試乗【ベストカーアーカイブス2013】

世界を代表する高級サルーンの「飽くなき進化」に驚愕 ベンツ6代目Sクラス試乗【ベストカーアーカイブス2013】

 2013年8月23日に日本で発表された、メルセデスベンツの6代目Sクラス試乗の様子をプレイバック。8年ぶりのフルモデルチェンジは革新的な技術に彩られた驚きの連続だった!(本稿は「ベストカー」2013年11月26日号に掲載した記事の再録版となります)

文:松田秀士/写真:平野 学

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■運転してもリアシートに乗っても最高だ!

マジックボディコントロールと呼ばれる世界初のサスペンションシステムをオプション設定。前方の路面の凹凸とステレオマルチカメラで捉え、その路面状況に応じて瞬時にサスペンションを制御することでフラットな乗り心地を実現
マジックボディコントロールと呼ばれる世界初のサスペンションシステムをオプション設定。前方の路面の凹凸とステレオマルチカメラで捉え、その路面状況に応じて瞬時にサスペンションを制御することでフラットな乗り心地を実現

 スポーティな顔立ちとなってきているここ最近のメルセデス。8年ぶりのフルモデルチェンジとなったSクラスもその例外ではないぞ。実にスタイリッシュに仕上がっている。

 一見すると誰が見てもSクラスと直感させるフロントマスクは、エアダクトが大きくなりヘッドライトもつり目気味。そしてクーペのようなサイドビューが美しい。

 では新型Sクラスのハイライトは何か? それは未来の自動運転に繋がる革新的技術だ。

 実は2013年のフランクフルトモーターショーに際しS500をベースにしたリサーチカーでドイツを舞台に高速道路、市街地、郊外を含む約100kmの道程を自動運転で走破したのだ。

 このリサーチカーには新型Sクラスのレーダーセーフティーパッケージがほぼそのまま使用されているという。

ゴージャスなインテリア!
ゴージャスなインテリア!

 このレーダーセーフティーパッケージは、最大8個のカメラと超音波センサーを含む複数のレーダーセンサーによって前方だけではなく常に周囲の状況を認識し、これらの情報によって最適な安全を含む走りの支援を行ってくれるのだ。これらを「インテリジェントドライブ」とメルセデスは呼んでいる。

 象徴的な機能がマジックボディコントロール。フロントガラス上部内側のカメラで最大15m先の路面の詳細な凹凸を検知し、サスペンションの油圧ユニットに供給されるオイル量をコントロールして完璧に近い乗り心地を確保するというもの。

 で、さっそく試乗といこう。まずはV型8気筒4.7L直噴ツインターボエンジン+8速ATを搭載したS550ロングだ。

S550ロング。誰が見てもベンツの最上級モデルとわかるデザイン。旧型に比べて見た目のスポーティ感も大きく増した
S550ロング。誰が見てもベンツの最上級モデルとわかるデザイン。旧型に比べて見た目のスポーティ感も大きく増した

 455ps/71.3kgmのハイパフォーマンスながら約8%燃費を低減し、欧州NEDC総合燃費11.6km/L、日本のJC08モード燃費10.1km/Lをマーク。図体のわりにエコカーで、エコカー減税の75%減税、ショーファーパッケージとファーストクラスパッケージを同時装着すれば免税になるのだ。

 コックピットに収まるとナビを含めたメーターパネルは旧型よりもはるかに大きな液晶画面。インテリアはこれまでのシックという印象からは脱皮してどちらかというとセレブという艶やかさが加わった。走り出すと静か、そしてスムーズ。ま、Sクラスなんだから当たり前なんだけど、改めて感動する。

 一般道はもちろんのこと高速道路でもとてもフラットな乗り心地。リアシートにはショーファーパッケージと呼ばれるオプションが装備され、最大43.5度まで寝かせることができる。まるでファーストクラス。

セダンながら大型ミニバンも顔負けの広くて快適なリアスペースを誇る
セダンながら大型ミニバンも顔負けの広くて快適なリアスペースを誇る
高級な本革も満足感が高い
高級な本革も満足感が高い

 でも感動するにはまだ早かった。

 前車完全追従型のACCクルーズコントロールをONにしての高速クルーズ。ステアリング操作以外する必要はない楽ちんドライブだ。しかし、あれれ? ステアリングも勝手に動く。前車に追従しながらコーナリングでは操舵を補助してくれている。前車がいなくてもコーナリングを補助。

 直進時には車線の真ん中をキープするようにサポートしてくれる。ステアリング操作をサポートする機能は日産が2001年にシーマで初採用したが、ここ最近国産車では見なかった。なるほど。これらによって、ドイツの自動運転が可能になったのだと納得。この機能は200km/hまで可能というから驚く。

 走りそのものもスポーティで、約100kgの軽量化が加速、コーナリング、ブレーキングといった走りの三大要素をしっかりと支援している。

 これまで走りの部分においてライバルのBMW7シリーズやアウディA8においてかれていた感があったが新型で追いついたといってもいい。それに加えてインテリジェントドライブは大きなアドバンテージとなっている。

 さて世の中はなんといっても燃費が一番。新型S400ハイブリットもシステムが進化。

S400ハイブリッド。新型はE400ハイブリッドがエントリーモデルとなり、S550ロングに対して標準ボディ仕様
S400ハイブリッド。新型はE400ハイブリッドがエントリーモデルとなり、S550ロングに対して標準ボディ仕様

 これまでエンジンルーム内にあったリチウムイオンバッテリーをトランクに移動。先に発売されているEクラスと同じメルセデスの最新第2世代のハイブリットシステムとなったのだ。

 具体的にはこれまでの減速時の回生ブレーキ機能やモーターアシストによるターボのようなブースト機能に加え、発進時のモーターアシストや35km/hまで電気モーターのみのEV走行が可能となった。

 さらに高速走行時などクラッチを切り離して完全に惰性のみで走行するセーリング機能も追加。これにより欧州NEDC総合燃費で15.9km/Lというこのクラスとしては信じられないくらいの好燃費。認証が取れ次第エコカー減税対象となる予定だ。

 S400のほうはロングではないショートボディ。よりドライビングカーなわけだが、ここでもやはり軽量化は効いていて走りはなかなかスポーティだ。

 その走りはモーターの力強さをより感じられるようになり、静かなモーターのみによるEV走行がとてもスムーズで心地いいもの。エンジンは最新世代V6直噴3.5Lで306ps/37.7kgm。その気になってアクセルを踏み込めばかなり力強い。

 走り出して感じたことはブレーキのフィーリングがよくなったこと。これまではハイブリッド特有の違和感のあるペダルフィールだったが最新の国産ハイブリッドと変わらなくなった。これがドライビングをいっそう楽しいものにしている。

快適なだけでなく運転する楽しさが新型Sクラスにはある
快適なだけでなく運転する楽しさが新型Sクラスにはある

 CD値はクラス最高の0.24。燃費、安全性と大きく進化したSクラス。やはりメルセデスのトップブランドは凄い!

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