チューンナップモデルも精力的に登場させた
もうひとつモデリスタで忘れていけないのが、チューンナップモデルだ。グループ企業と連携し、数々のスポーツモデルを送り出してきた。
そのなかでも強烈な記憶を残すのが、2001年8月に、300台限定で投入された「クラウン・アスリートVX」だ。
マークIIツアラーV譲りの2.5L、直列6気筒ターボを積む「アスリートV」をベースに、ヤマハがトータルチューニングを手掛けたもの。
この知見は、2カ月後に投入された第2弾モデル「マークIIツアラーVフォーチュナー・ヤマハパワー」にも活かされた。
マークXとなっても、チューニングコンプリートカーの設定は続けられ、2006年4月に初代をベースとした「マークXスペシャルバージョン スーパーチャージャー」を100台限定でリリース。
3L、V6エンジンに、スーパーチャージャーを組み合わせることで、最高出力320ps、最大トルク412Nmまで性能を向上させたモンスターセダンであった。その後、一部仕様を変更し、まさかのカタログモデル化。
この流れは、最後のマークXとなった2代目にも受け継がれ、一部の人々を恐怖に陥れる!?羊の皮を被った狼「マークX +Mスーパーチャージャー」に進化した。
マークX仕様があまりにも有名過ぎて忘れられているが、「+Mスーパーチャージャー」は13代目クラウンが元祖である。
2018年以降はドレスアップに特化
現在、トヨタモデリスタインターナショナルは2018年4月の組織変更により、TRDや特殊車両などを手掛けた「トヨタテクノクラフト」と海外向け車の用品や特殊車両などを手掛けた「ジェータックス」を統合した「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」となった。
モデリスタは、そのなかのドレスアップを中心としたカスタマイズブランドである。
伝統のアグレッシブな商品開発の姿勢は今も息づいており、トヨタからレクサスまで幅広い乗用モデルのほとんどにドレスアップパーツを展開している。
最新モデルも芸の細かさが魅力
最新作を見ていくと、アルファード「タイプゴールド」とヴェルファイアの「ゴールデンアイ」のように、兄弟車でも個性が際立ち独自の世界観を提供。
もっと驚くのが、RAV4とRAV4PHV用のエアロデザインをそれぞれ作り変えるところだ。本当に、芸が細かい。このあたりは、モデリスタ伝統の職人魂を感じさせるところである。
個人的には、スタイリッシュSUV「C-HR」の「ブーストインパルススタイル」がオススメだ。大型フロントスポイラーが、低いシルエットを強調し、C-HRのクーペライクなスタイルが際立つからだ。
最近のセダンやハッチバックは、ベース車のデザインがかなりスポーティになっているが、やはり全高の高いSUVやミニバンとの組み合わせが、モデリスタの魅力が光るところだと思う。
ただ「GR」シリーズの誕生などで、モデリスタの役割も変化した。
今後、モデリスタの名を冠した羊の皮被った系のモデルが誕生する可能性が低いことは、少し残念だが、裏を返せばドレスアップに特化することで、これまで以上にエモーショナルなものが登場することに期待したい。
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