ゴミ収集車といえば、小型トラックの狭いキャビンに2〜3人乗車して、収集スポットに着くたびに収集作業を繰り返す姿をよく目にする。窮屈で大変そうだし、「あれ、なんとかならないかな?」なんて思っていたら、ゴミ収集車の運転と収集作業を一人で行なえる車両の発表イベントが開催された。
7月30日、三菱ふそうの本社川崎製作所で開かれたコンセプトモデルのデモンストレーション・イベント「Fuso Future Solutions Lab」がそれだ。
ここで初公開された「eキャンター・センサーコレクト」」(eCanter SensorCollect)は、三菱ふそうの電気小型トラック「eキャンター」をベースに各種センサーを搭載し、リモートコントロールで車両の一時停止や障害物の回避といった操作を可能にしている。
作業者の負担を軽減する次世代のゴミ収集車である。
文/写真:フルロード編集部
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■まるで飼い主についてくる犬のよう! どこか可愛く思えてくる「eキャンター・センサーコレクト」の秘密
「eキャンター・センサーコレクト」は、遠方検知を担当するLIDARモジュールを4個、安全エリアを検知する単距離センサー16個、さらに高精度GPS、4G、WiFiなどの制御モジュールを備えている。
これらセンサーから収集された情報を元にアクチュエーター制御システムがモータートルク、ステアリング、ブレーキなど車両の挙動を制御。ゴミ収集を行なう作業員は、スマートフォン式HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)によって車両を遠隔操作する。
■スマートフォンで車両を遠隔操作! 気分は鉄人28号だ!?
このHМIによる操作は、まず作業者が車両の前か後ろに立ち、スタートボタンを押して、作業者を設定。次に「follow me」モードで安全な距離を保ち、車両が作業者に追従する。
作業者がゴミ収集ポイント付近の地点を設定することで、車両は設定地点まで移動し、停止する。作業者はゴミの収集作業を行ない、さらに次の収集ポイントに移動するというのが一連の流れになっている。
この間、車両は無人で走行するので、これまで複数人が車両に搭乗して行なっていたゴミ収集作業が、すべてワンマンでオペレーション可能になる。
また、ベースは「eキャンター」なので、ゴミの荷箱への押し込みなどの作動もすべて電動パワートレインを用いており、これによって低騒音・ゼロエミッションを実現。場所や時間を問わずクリーンなゴミ収集が期待できる。
■収集車のワンオペも可能!? 安全性を確保するにはさらなる研究課題も
また、経路上の静止障害物を回避し、一定の安全距離を保ちながら追従するが、道路の横断など一般の人が安全エリア内に入ると、車両は緊急停止。さらに作業者は、HМIとは別に常時「遠隔緊急停止デバイス」を携行しているので、このボタンを押すことでも車両は緊急停止する。
今後の課題としては、高精度GPSが位置と向かう方向を追跡しているが、駐車場なとは別途対応が必要なこと、また、常に変化する交通状況に対応し安全性を確保するにはさらなる改善が求められている。さらに荒天や暗闇などでの対応も今後の研究課題だとしている。
今回の「eキャンター・センサーコレクト」は、作業者の歩く速度程度に追従する低速での無人走行で、いわゆる自動運転とは異なるものだが、今後の開発の進捗により、ゴミ収集車のみならず各種作業車両や宅配車両などへの展開も期待され、コンセプトモデルながら大いに可能性を秘めた車両と言えそうだ。
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