無観客レースは異様な雰囲気
開幕戦の富士は、前述のとおり無観客で開催された。これまで長きにわたりレースを取材してきたが、観客がポツポツという寂しいレースはあったが、誰もいないというのは初めての経験だった。
通常レースと同じように場内放送は流されていたが、歓声はいっさいというのが異様な雰囲気でもあった。
ドライバーもいつものレースなら、最終コーナーを立ち上がってホームストレートを走行中にファンの大歓声を受け、スタンドではフラッグがいたるところで振られている、という当たり前の光景がないことに寂しさを感じていたようだ。
レース会場での新型コロナ対策も徹底されていた。予選、決勝の記者会見場は入場禁止となっていて、プレスはオンラインで流される動画をYouTubeで見るという形式がとられていた。
当然ドライバー、チームスタッフなどマスクは必須で、インタビューを受けるマイクも個別に用意され、アルコール消毒されるといった具合だ。
今回取材してみて、GTAは現状で今考えられる新型コロナ感染拡大防止策のすべてをやっていた印象を受けた。
スープラデビューと新生NSX
開幕戦の富士は、スープラの投入、NSXがミドシップからFRに変更された最初のレースということで注目を集めていた。
結果はニューマシンのスープラが1~5位を独占するという最高のデビューを飾った。
このスープラについてエンジニアは、「タイヤとのマッチングの幅が広いので、結果としてパフォーマンスの幅が広くなっている」、とコメントしていた。
いっぽう一部のドライバーは「ちょっと運転しづらいところもある」、と相反するものはあるが、戦闘力が高いのは間違いない。
スープラの富士での走りを見て、ハンドルを切ると素直に曲がる感じを受けた。フロントに余計な空力付加物を装着しなくてもダウンフォースが出ているのも特筆だ。ダウンフォースを得ようと空力付加物をいろいろ装着しているGT-Rとは対照的だ。
いっぽう新生NSXはどうか?
ミドシップからFRに変わったことについてドライバーに聞いてみると、「乗りやすいし、まったく違和感がない」とのこと。これは意外だった。
新生NSXはスピードではスープラに比肩するくらいのポテンシャルを持っている。しかし、スープラが硬めのタイヤを使っていたに対し、NSXは柔らかいタイヤ。
予選ではタイムが出るが、決勝では速いけどタイヤのパフォーマンスが低下するとタイムが落ちてしまう。
基本的なポテンシャルが高いため、タイヤマネージメントを含め、今後テストなどでの熟成に期待したい。また、路面のコンディション次第では、スープラ勢も安泰とはいかないだろう。
最後は、開幕戦では蚊帳の外になった感はあるGT-R。
テスト段階からプロペラシャフトの破損が相次ぐなどトラブルに泣かされているGT-R勢は、新しくなったライバルに対して苦戦は否めない状況だろう。
マシンの改良、熟成は急務で、スープラ、NSXに対抗してシリーズを盛り上げてほしい。
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