開幕戦はスープラが圧勝 スーパーGTはコロナ禍でどう揺れ動いたのか

開幕4戦は無観客での開催

 また、開催サーキットについては、移動をどうするかという問題もある。

 7月18~19日の開幕戦に富士スピードウェイが選ばれたのは、チーム関係者が移動することでかかる迷惑のレベルが最も低いのが富士だったという点もある。

 開幕戦は遅れての開催となったが、当初の予定通り8戦の開催を予定し、富士のほかに鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎで開催されることになった。

チームはサーキット入りできる人数が16人に制限されていたため、かなり人手不足感はあった。当然レースクィーンもいない
チームはサーキット入りできる人数が16人に制限されていたため、かなり人手不足感はあった。当然レースクィーンもいない

 これは公共交通機関を使わなくても比較的移動しやすいという理由のほか、無観客でも主催者のサーキットが耐えられるという意味が大きい。

 現在、GTAは開幕から4戦は無観客で開催することを決めていて、プロ野球、Jリーグが観客を入れるようになっているように、感染状況などを考慮して、観客を動員するかどうか決めるという。

 当然、サーキットにとって入場料収入は大きなもので、それがないまま開催を続けることは、サーキットサイドにとっては大きな痛手になる。

 自動車メーカーがバックについている富士スピードウェイ(トヨタ)、鈴鹿サーキット&ツインリンクもてぎ(ホンダ)以外は開催が難しい、というのが実情だと思われる。

岡山国際、SUGO、オートポリス、タイ、マレーシアの5戦が中止となり、富士、鈴鹿、もてぎが代替開催し当初の予定の8戦をカバーする
岡山国際、SUGO、オートポリス、タイ、マレーシアの5戦が中止となり、富士、鈴鹿、もてぎが代替開催し当初の予定の8戦をカバーする

レース開催にあたっての具体策

 開幕戦を開催するにあたり、サーキット入りできるチームのメンバーが制限された。具体的には1チーム16人に制限。これはチームとしては足りないくらいの人数ゆえ、PR担当などはサーキット入りしていない。

 いっぽう取材する側のプレスも70人に制限された。これは富士スピードウェイのプレスルームを使用するにあたり、ソーシャルディスタンスを考えたうえで決定された。

レース前のグリッドは人数制限をしてもこの蜜具合。レースの規模が大きいスーパーGTでは、そのあたりのことが慎重に考慮された(写真提供 GTA)
レース前のグリッドは人数制限をしてもこの蜜具合。レースの規模が大きいスーパーGTでは、そのあたりのことが慎重に考慮された(写真提供 GTA)

 これまでなら、プレスは事前申請以外にも年間パス所持であればネットで取材日を通知しておけば当日にパスを提示するだけで入場が可能だったが、新型コロナ禍では、全てのメディアは事前申請が必須で、発表媒体とセットでないと受理されなくなった。

 岡山での無観客テストの時からチーム関係者、プレスに検温、問診票の提出などが義務付けられていたが、開幕戦に対しては、前後2週間に検温し、体調を日々報告すること、また、イベント前には一回、33項目にわたる細かな問診票の提出など、さらに徹底されていた。

 サーキットに入る前にゲートで検温は当然行われている。

 参戦チームについてはPCR検査が必須とはなっていないが、トムスのようにチームで抗体検査を行って、全員の陰性を発表したところもある。

グリッドに全マシンが集合。このシーンをファンが見られないのは残念。後半4戦については状況次第で観客を入れるかどうかを決定する(写真提供 GTA)
グリッドに全マシンが集合。このシーンをファンが見られないのは残念。後半4戦については状況次第で観客を入れるかどうかを決定する(写真提供 GTA)

 スーパーGTは、スタッフもプレスも宿泊するケースが多い。その時に問題になるのが食事で、GTAではテイクアウトして部屋で食べることを推奨。

 また、店で食べる場合は事前に予約して、静岡県以外から来たメンバーがいる場合はその旨を知らせることが義務付けられた。

 レースは地方自治体との連携なしでは開催できないが、富士スピードウェイは開幕戦で感染拡大防止策を徹底することで、小山町、御殿場市からの協力が得られた。

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