スズキディーラーからの発信で、2020年6月をもって「バレーノ」と「SX4 Sクロス」が販売終了になるとの情報があった。
しかし、「バレーノ」は販売終了は確定したが、「SX4 Sクロス」は8月7日時点でもスズキの公式ホームページに健在で、まだ購入可能な状態となっている。
さらばインドからの使者スズキバレーノ!! 登場4年で日本から撤退の敗因
欧州では2020年4月にハイブリッドモデルが登場したSX4 Sクロス。このまま存続し、ハイブリッドモデルの国内導入というパターンがあるのか? それともこのままバレーノとともに日本を去ることになるのか? その動向を販売現場で取材した。
文/遠藤徹
写真/SUZUKI
【画像ギャラリー】国内販売終了へ!! スズキのクロスオーバーSUV「SX4 Sクロス」を詳しくチェック!!
■販売終了は確定!! 国内販売苦戦の要因はライバルに比べて劣る商品力
スズキ「SX4 Sクロス」の現行モデルはひとまず、廃止の見通しとなっている。扱っている首都圏のアリーナ店、スズキ店によると「現行モデルはすでに生産中止しており、在庫を売り切った段階で終了する。次期型が発売されるということは今のところ聞いていない。」という。
メーカーにも取材したが、「終了の可能性はあるが、現時点ではまだ販売している」と説明している。これは現時点ではまだ在庫が若干残っているので、これを売り切った後に正式に終了するということと思われる。
SX4 Sクロスはハンガリー工場で生産し、ギリシャ経由で陸送、そこから船積みされて日本に輸入販売されてきた。今回、モデル廃止としたのは日本での販売が振るわず、継続が難しくなっているためのようだ。
しかしながら、ヨーロッパでは新たにハイブリッドモデルが登場し、新型になり引き続き販売されているという。このモデルが日本に導入される可能性があるのか。
首都圏にあるアリーナ店、スズキ店の営業担当者に聞いて見ると「SX4 Sクロス」が次期型になり、そのハイブリッドモデルが日本に導入されるとの情報はまだ届いていない。年内に発売される可能性があるのはソリオの次期型であるから、発売されるとしたら、2021年後半以降になるはずだ」と打ち明ける。
スズキは軽自動車、コンパクト&小型車クラスのSUVモデルのラインアップではかなり豊富な陣容を整えている。軽自動車はラフロードタイプで「ジムニー」、クロスオーバーで「ハスラー」があり、どちらも人気が高くマーケットでの定着に成功している。
ベーシックコンパクトではラフロードタイプで軽自動車ベースの「ジムニーシエラ」、クロスオーバーでは「クロスビー」がある。このうちジムニーシエラは現行モデルがヒットしたことで、ようやくマーケットでの定着が可能になっている。
クロスビーは発売当初は人気モデルであるハスラーの面影を引き継いだコンセプトで人気が高まったが、ライバルのダイハツ&トヨタ陣営が対抗モデルの「ライズ/ロッキー」を投入したことで、お株を奪われ販売低迷状態に陥っている。
ただ、現行モデルの登場が2017年12月25日であり、2年半以上が経過しており、モデルが陳腐化している事情もある。マイルドハイブリッドのほか、ストロングハイブリッド、あるいはターボなどを設定し、ビッグマイナーチェンジして商品ラインアップを強化すれば復活の可能性はある。
今回主題のSX4 Sクロスはどうか。1.6Lエンジンを搭載し、2WD、4WD、6ATを組み合わせた上級コンパクトクラスのクロスオーバーSUVである。そのラフロード4WDバージョンが「エスクード」である。両モデルの販売が今一歩の状況にあるのはさまざまの要因が上げられる。現行モデルの登場はSX4 Sクロスが2015年2月19日、エスクードは2015年10月19日であるから、どちらも古くマーケットでの競争力が弱くなっている。
同クラスはトヨタ「C-HR」、ホンダ「ヴェゼル」、日産「キックス」、スバル「XV」、マツダ「CX-3」などライバルの強豪がひしめき、シェア争いを激しく演じているから、商品力や販売力で劣るスズキ陣営の影が薄くなるといった状況にある。
またSX4 Sクロス、エスクードともに海外産の輸入モデルだから、豊富なラインアップを揃えられないのと供給力に限界があるのがネックになっているといえるだろう。
であれば国内製に切り替えてラインアップを強化するという方法もある。それができるかどうかが復活のカギといえるかも知れない。ただスズキとしては難しい課題もある。ハンガリー工場製としているのはメイン市場のヨーロッパ各国に輸出するのに効率が良いという事情がある。国内向けとヨーロッパ向けを分ければ、コスト高で販売台数の少ない国内向けの存続がしにくいという問題もありそうだ。
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