トヨタ カムリ40周年! セダン不況でもなぜ日本で堅調なのか

なぜ日本でもカムリは堅調なのか

 今日、米国ではRAV4が乗用車販売で1位だが、カムリはそれに次ぐ順位にある。

 現行カムリが発売されたとき、国内でも特別に米国仕様のカムリに試乗する機会が、与えられた。メガウェブのライドワンという限られた場所ではあったが、米国で高い人気を維持してきた一端を体感できた。

現行型カムリ(米国仕様)
現行型カムリ(米国仕様)

 国内ではハイブリッド車(HV)のみでの販売だが、米国では直列4気筒とV型6気筒のガソリンエンジン車が設定されている。売れ筋は、廉価な直列4気筒だ。その出来が、とてもよいのである。

 もちろん、HVほどの静粛性や、V6エンジンほどの力強さはないが、米国のフリーウェイの合流などで瞬発力が要求されるような状況における加速性能は、ちょうどよく機能し、毎日乗るクルマとして快適な一台であることを実感できた。米国大衆車としての高い実力を感じさせたのである。

 国内のHVは、前型に比べエンジン効率を高めた結果エンジン騒音がやや目立つようにはなったが、上質な乗り味はカムリらしさを残している。

 どのメーカーも、昨今は運転の楽しさをあらゆる車種で訴えかけるが、上級4ドアセダンには調和のとれた快適さが何よりの条件だ。

 また今日では、FFであっても運転操作に的確に応答する走りは、よほどのことがないかぎり満たされている。

初代カローラ
初代カローラ

 トヨタは、初代カローラが発売されたとき、「80点+アルファ」という開発方針が掲げ、それ以後は一時期80点主義だけが独り歩きし、悪くはないが面白みに欠けるなどと揶揄されたこともあったが、調和のとれた総合性能は4ドアセダンにとってもっとも重要な要素である。

 加えて、トヨタはTNGA(トヨタ・グローバル・アーキテクチャー)を現行プリウスから導入し、その効果はC-HRなどで発揮されてきた。

TNGAが採用され、復活したRAV4
TNGAが採用され、復活したRAV4

 カムリではより大型な車種でのTNGAが採用され、それがRAV4を魅力あるSUVとして復活させたように、TNGAによる底上げが成果を上げている。カムリは、4ドアセダンとしての総合性能に加え、TNGAによって走りも充分に仕上げられている。

カムリ堅調の背景にはセダン市場の変化や価格含めた総合力も

 営業の側面では、国内の販売店数でトヨタは6000店舗ほどであるのに対し、ホンダは2200店舗ほどの規模である。しかも、カムリは従来カローラ店系列での販売だったが、現在ではトヨタのどの店でも購入できる。

2019年に生産終了したマークX
2019年に生産終了したマークX

 クルマの方向性は異なるかもしれないが、マークXが生産を終えた。レクサスのGSも、選択肢から消えている。

 FRかFFかという違いはあるにしても、ほぼ同等の車格の4ドアセダンを乗り継いできた人たちにとって、乗り換えるべきクルマがカムリしかなくなってしまったともいえる。

 最後に価格について。カムリはグレードによる選択肢があり、348.5万~445万円で、特別仕様車も420.8万円で買える。いっぽう、アコードは1グレードの販売で、465万円する。

アコード(1グレードの販売のみ 465万円)
アコード(1グレードの販売のみ 465万円)

 そのほか燃費性能は、WLTCでカムリが24.3km/L(廉価なエントリー車種では27.1km/L)であるのに対し、アコードは22.8km/Lである。さらにはカムリには、FFのほかに4WDの選択肢があるが、アコードはFFのみだ。

 ちなみに、日産のティアナは販売を終えており、FRではあるがスカイラインはハイブリッド車になると550万円以上してしまう。

 カムリの堅調さは、調和の取れた総合性能に加え、現行車では開発の主眼とされたクーペを思わせる外観の造形、手ごろな価格、販売店の多さなど、全方位的に強みを持っているからといえそうだ。

【画像ギャラリー】2020年8月に発売開始したカムリ40周年記念特別仕様車をみる

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