両車の最大の違いはパワートレーン
シートは座面と背面がアルカンターラ素材で、セミバケットのように座面背面共に左右のサポートを意識した作りだ。
そして、シートと同じ赤いステッチのステアリングにはトップに赤いマーキングが施される。握りは明らかに太めだ。メーターパネルはレイアウトこそロードスターそのものだが、文字盤はレッドに加飾されている。
とはいえ、着座しステアリングに手を置いたときに感じる各操作系は、ほとんどロードスターと同じである。
そして、最大の違いがそのパワートレーン。124スパイダーには170ps/250Nmを発生する1.4L 直4のマルチエアターボエンジンが搭載されている。
排気量では約100cc小さいが、最大トルクはロードスターよりも+約100Nmと強力で、2500rpmという低回転域から発生する。
エンジンのパワーアップに合わせるようにタイヤも205/45の17インチが採用されていて、ロードスターよりもワンサイズアップ。
これは、ロードスター先代モデルのNCと同等のタイヤサイズだ。さらに、フロントブレーキにはブレンボが投入されている。
重量が約90㎏重くなったことにより、ビルシュタインダンパーを含めたサスペンションのバネ定数も高められているはず。
中高回転域のフィールはロードスターにない力強さ
では走り始めよう。
ロードスターに対して一番気になるのはエンジンだ。1.4Lマルチエアターボエンジンの評価は、ジュリエッタやミトにも搭載され、世界的にも評価は高い。
その構造は、吸気弁の作動をカムシャフトではなく油圧ピストンにより行い、電子制御することでより細かな可変吸気を実現している。これは、燃費向上に大きく貢献している。
ロードスターが152Nmの最大トルクを4500rpmで発生させるのに対して、250Nmの最大トルクを2500rpmで発生させている。
ギヤ比の詳細は入手できていないが、6速100km/h時のエンジン回転数はほぼ同じの2600rpmなので、その他のギヤ比もほとんど変わらないものと思われる。
そのことを考慮して発進加速を比較してみると、3000rpm以下では両車ほとんど変わらない体感加速。
停止状態からの出だしでは、ややロードスターのほうがレスポンスよく感じる。これは、やはりNAであることでアクセルに対するピックアップがいいことと、90㎏差の車重が効いているのだろう。
しかし、3000rpmを超えたあたりからマルチエアターボの本領が発揮され、トップエンドの6000rpmオーバーまで力強さが続く。
この中高回転域のフィーリングはロードスターにはないもので、明らかに力強い。ロードスターの場合7000rpmオーバーまでしっかり回して、アップシフトした時により高い回転域に放り込めることによる繋がりのよさが魅力といえる。
124スパイダーにはスポーツモードがあり、スイッチを入れると全体的にパワーアップしステアリングのフィーリングもしっかりとしてくる。
そして、排気音の質感もよりレーシーなものに変化する。ターボゆえのオブラートに包まれた排気音と、ウエストゲートの開く音。これにはかなりそそられる。
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