固められたサスと強化されたボディ
パワーと車重のアップ、そしてNC並みのタイヤグリップを得たことで、サスペンションは固められている。
具体的なデータがないので、個人的なフィーリングを元に想像すると、軽く20%ぐらいはスプリングレート、ダンパー減衰力ともに固められているはず。
そのくせ、低速域での乗り心地はロードスターよりもよく、シートの振動吸収力が高いことと、ダンパーの初期減衰のセットがボディとマッチしているのだろう。
そのボディも、ロードスターRSよりも強化されていると感じる。強化するポイントはセンタートンネルだろう。
このため、コーナへ侵入する時の操舵に対して、初期のロールするフィーリングはロードスターと同じくらいだ。
ただし、そこからさらにステアリングを切り足したときに、ロードスターはさらにロールを感じ内輪側のサスペンションの伸びあがりを感じるが、124スパイダーはあるところでロールそのものが止まり落ち着いた姿勢でコーナリングする。
基本的に、この時のハンドリングは弱アンダーをキープ。そこから先のハンドリング変化は大きく変わることはない。
だから、アクセルを全開しにしてターボパワーでグイグイと連続した加速を楽しみながらコーナリングしている時、安定性をしっかりと持たせるためのサスペンションセッティングであり、そのために必要なグリップ力を確保するためのタイヤサイズといえるだろう。
実は、このコーナリング初期の応答感でいうと、サスペンションがソフトな方向のロードスターのほうが、初期ロールは大き目ながら応答性は速く感じる。
おそらくこれは、フロントオーバーハングの長さとフロントノーズトップ部及びライト周りの質量が124スパイダーのほうが大きいことで、イナーシャが大きくなっているからではないだろうか。同じことがリア周りにもいえるかもしれない。
ブレーキの強化が走りに好影響
デザインとハンドリングの関連が、この2台を乗り比べると感じられるのだ。
124スパイダーには明らかにイタリアンの、しかもアバルトの血流がある。
ロードスターは、何も考えることなく頭の中を空っぽにしてステアリングを操作できる素のよさがある。もちろん、このフィーリングは124スパイダーにも共通するものだ。
しかし、124スパイダーはさらにどのような操作をすれば、より深く曲がり込ませることができるのか、どのタイミングでブレーキングとステアリングの操作をすればよいのか、ということを考えながらハンドリングする創造力の楽しさがプラスされている。
これは、フロントブレーキに4PODのブレンボキャリパーが採用されていることが大きい。
軽く踏み始める時のブレーキのタッチ。ハードブレーキングからペダルの踏力を緩めながらフロントノーズを起こし、コーナリングを始めるときのタイミング。この操作の確実性がロードスターよりも高いのだ。
124スパイダーには、やはりアバルトというブランドに恥じないスパイスが投入されていた。
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