自動車関連税減税も!! 100年に一度の変革期の今 自工会が大規模な組織変革を発表

 一般社団法人日本自動車工業会(会長:豊田章男・以下自工会)が2020年9月24日にオンライン会見を開き、組織の変革について発表した。

 自工会は会長、副会長、理事に日本の自動車メーカーがのトップが名を連ねる自動車の業界団体だから、エンドユーザーには直接関係ない。

 しかし、クルマ社会をよりよくするための戦略、政府、関係省庁との交渉など精力的に活動を展開している。ちなみに東京モーターショーも自工会の主催だ。

 クルマを使うユーザーを幸せにしようと新たに動き出した自工会の変革について見ていく。

文:ベストカーWeb編集部/写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI、平野学

【画像ギャラリー】コロナ禍で知恵と技術力で医療現場をサポートした日本の自動車メーカー


自工会が抜本的な組織変革

自工会の豊田章男会長は2度目の会長職。通常なら2年の人気のところ、4年に延長となったことで組織改革を決断したという

 自工会は戦後間もない1948年に、自動車製造工業の健全な発展を図ることを目的として設立された。

 日本の自動車界は急速な進歩を遂げたいっぽう、排ガス規制、貿易摩擦など多くの困難に立ち向かってきた経緯がある。

 自動車業界は100年に一度の変革期を迎えていると言われているが、それに向かっていくためには組織の抜本的な変革が必要と考えた、と豊田章男会長はコメント。

 その抜本的な改革は以下の2点。

■組織の再編成
 旧体制では12委員会が存在したが、新体制では5つに簡素化。数は集約されているが、重点方針に基づく事業と新規チャレンジを推進し、活動成果を可視化することを目的としている。

 委員会間の連携を強化すると同時に、事業評価を行う組織を新設し、組織ガバナンスを強化するという。

■二輪代表、大型車代表を新たに招聘
 会長をサポートする副会長には、二輪車メーカーの代表としてヤマハ発動機の日高祥博代表取締役社長 社長執行役員、大型車メーカーを代表していすゞ自動車の片山正則代表取締役社長を新たに招聘して体制強化。

新たに自工会の副会長に就任したヤマハ発動機の日高祥博代表取締役社長 社長執行役員(写真左)といすゞ自動車の片山正則代表取締役社長(写真右)

 これで日本のモビリティを形成する登録乗用車、二輪車、大型車のトップが顔を揃えたわけだ。将来的には軽自動車メーカー代表として、スズキやダイハツを招聘していく意向も発表された。

 二輪車、大型車の代表メーカーを新たに招聘したのは、新たなモビリティ社会においてそれぞれの役割が違うので、総合的かつ効率的に戦略の推進、対処ができるからだという。

【豊田章男会長の談話】
 100年に一度の変革期を迎えていると言われている自動車業界ですが、自動車が今後どうなっていくか、自動車の未来についての解答はありません。どう生き抜くかが重要で、そのような状況下では、スピードと密なコミュニケーションが必要になってきます。

 モビリティの未来を日本から作ることが必要だと考えています。組織が一体となり、さまざまな活動にチャレンジし、頼られる団体を目指します。   

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 この後は、組織改革の発表時や質疑応答時に出た興味深い話、データについて見てきたい。

コロナ禍のクルマ業界

 新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に経済が打撃を受けている。日本でもGDPの落ち込みは、史上最大となっている。最も深刻なのは個人消費が激減していること。

 国内自動車市場を見ると、2020年1月が前年比88%、3月が同91%なのに対し、緊急事態宣言の影響もあり、その後落ち続け、5月には前年比55%まで激減。

自動車界はコロナ禍の影響を大きく受けて、2020年5月には前年比55%まで落ち込んだが、その後は回復傾向。しかしまだ油断はできない

 その後は回復傾向にあり、7月は前年比86%、9月は90%台に近いペースとなっているのは朗報だが、第3波の可能性もあるため楽観視はできない。

 そのため、自工会では2020年3月に続き、需要見通しの発表は見送っている。

自動車産業の経済波及は平均値を大きく上回る。自動車産業の復刻がいかに日本の経済において大きな影響力を持っているのがよくわかる

 苦しい状況が続く自動車業界ではあるが、豊田会長は医療現場などのサポートについて高く評価。

「自動車メーカーが知恵と生産技術を活用して、初めて製作に着手したマスク、フェイスシールド、人工呼吸器などで貢献できたことはすばらしい」(豊田会長談)

 コロナ禍で苦しみながらも、日本の医療現場のサポートに大きく貢献していた。

自動車メーカーは医療関係のサポートとして、搬送車の提供のほか、マスク、フェイスシールドの製作などにも着手して大きく貢献(写真はトヨタのフェイスシールド)

クルマの税金

日本のクルマユーザーは世界で最も高い税金を納めていると言われていて、アメリカに比べると30倍の金額を収めていてその負担は大きい

 自工会は税制面の改善、補助金の継続・拡充を政府、関係省庁と交渉するもの重要な仕事のひとつだ。

 日本のクルマユーザーは、アメリカの約30倍の税金を払っていて、その税額は世界一高いと言われている。さらに日本の税制は、複雑で多岐にわたっている。

 この点を自工会では問題視していて、毎年毎年、税制改革を訴えていて、今後も精力的に働きかけることを明言。

 日本では高齢化が深刻化しているが、これはクルマについても同じなのだ。

 1990年に日本の自動車保有台数は約5800万台で、2019年には約7800万台に増えている。問題は平均使用年数で、1990年が8.8年に対して、2019年は15.3年と6.7年も長期化している。

 クルマの電動化率は世界で2番目に高いいっぽう、クルマの高齢化も顕著なのだ。

保有台数の増加よりも平均使用年数の長期化が深刻化。新車が売れない要因にもなっているが、これも高い税金が少なからず影響

 日本の高い税金がこのクルマの平均使用年数の長期化にも関係していると豊田会長は断言。

 自動車メーカーは新車を販売するフローで利益を出すのに必死だが、保有を動かして利益を出すというストックをうまく活用することも今後のクルマ界には必要だという。

 では、その保有台数を動かすとどのようなメリットがあるのか?

 例えば平均使用年数を3年短縮すると、日本の新車販売は125万台、生産台数645万台に匹敵し、GDPは6.6兆円増、そして雇用も15万人増と試算されている。

税金のほか電気自動車、プラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル車、燃料電池車などの補助金交渉も自工会が担当

 3年短縮させるためにはかなりコストがかかるが、かけたコストよりも効果が大きいのは明らかだという。

 自工会には、税制改革によりユーザーの負担する税金が減るように交渉して実現してくれることに期待したい。

東京モーターショー

東京モーターショー2019は100万人を超える来場者となり大成功。豊田会長は、未来のモビリティ展示会に舵を切ったのが成功の要因と分析

 北京モーターショーは開催され、アメリカでも2021年6月からモーターショーが開催されることになっている。

 東京モーターショー2021に関しては、具体的なシナリオはまだないというが、人と集めるイベントの開催については、諦めずに模索すると同時に、オンラインでどういうことができるのかを検討することも必要だと、豊田会長はコメント。

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 100年に一度の変革期に加えて、新型コロナ、自然災害など予測できない環境変化が頻発している今、ユーザーも不安は大きい。

 日本経済への影響力、エンドユーザーのカーライフに自工会は大きな影響力を持っている。

 そのためユーザーが幸せになれるよう自工会は活動していて、懐具合にも直結する税制面など、組織改革により効果が発揮されることに期待したい。

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