コロナ禍のクルマ業界
新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に経済が打撃を受けている。日本でもGDPの落ち込みは、史上最大となっている。最も深刻なのは個人消費が激減していること。
国内自動車市場を見ると、2020年1月が前年比88%、3月が同91%なのに対し、緊急事態宣言の影響もあり、その後落ち続け、5月には前年比55%まで激減。
その後は回復傾向にあり、7月は前年比86%、9月は90%台に近いペースとなっているのは朗報だが、第3波の可能性もあるため楽観視はできない。
そのため、自工会では2020年3月に続き、需要見通しの発表は見送っている。
苦しい状況が続く自動車業界ではあるが、豊田会長は医療現場などのサポートについて高く評価。
「自動車メーカーが知恵と生産技術を活用して、初めて製作に着手したマスク、フェイスシールド、人工呼吸器などで貢献できたことはすばらしい」(豊田会長談)
コロナ禍で苦しみながらも、日本の医療現場のサポートに大きく貢献していた。
クルマの税金
自工会は税制面の改善、補助金の継続・拡充を政府、関係省庁と交渉するもの重要な仕事のひとつだ。
日本のクルマユーザーは、アメリカの約30倍の税金を払っていて、その税額は世界一高いと言われている。さらに日本の税制は、複雑で多岐にわたっている。
この点を自工会では問題視していて、毎年毎年、税制改革を訴えていて、今後も精力的に働きかけることを明言。
日本では高齢化が深刻化しているが、これはクルマについても同じなのだ。
1990年に日本の自動車保有台数は約5800万台で、2019年には約7800万台に増えている。問題は平均使用年数で、1990年が8.8年に対して、2019年は15.3年と6.7年も長期化している。
クルマの電動化率は世界で2番目に高いいっぽう、クルマの高齢化も顕著なのだ。
日本の高い税金がこのクルマの平均使用年数の長期化にも関係していると豊田会長は断言。
自動車メーカーは新車を販売するフローで利益を出すのに必死だが、保有を動かして利益を出すというストックをうまく活用することも今後のクルマ界には必要だという。
では、その保有台数を動かすとどのようなメリットがあるのか?
例えば平均使用年数を3年短縮すると、日本の新車販売は125万台、生産台数645万台に匹敵し、GDPは6.6兆円増、そして雇用も15万人増と試算されている。
3年短縮させるためにはかなりコストがかかるが、かけたコストよりも効果が大きいのは明らかだという。
自工会には、税制改革によりユーザーの負担する税金が減るように交渉して実現してくれることに期待したい。
コメント
コメントの使い方