高齢者社会で見直される !?日本メーカーが挑戦し続けた小さな高級車たち

日産ローレルスピリット

販売期間:1982~1986年(初代)、1986~1990年(2代目)

全長4050×全幅1620×全高1390mmのコンパクトセダン。本家ローレルが4ドアセダンと4ドアハードトップの設定だったのに対し、4ドアセダンのみの設定
全長4050×全幅1620×全高1390mmのコンパクトセダン。本家ローレルが4ドアセダンと4ドアハードトップの設定だったのに対し、4ドアセダンのみの設定

 1981年秋、当時の日産の最多量産車だったサニーがモデルチェンジし、FF方式のファミリーカーに生まれ変わった。B11の型式を与えられた5代目サニーは、発売から3カ月後の1982年1月に兄弟車を加えている。それがローレルスピリットだ。

 ご存じのようにローレルは日本初のハイオーナーカーで、違いがわかるアダルト層から絶大な支持を受けている。そこでローレルの弟分として日産モーター系の販売店に送り出されたのがローレルスピリットだった。

 エクステリアは4ドアセダンだけに絞り、フロントマスクやフェンダーミラー、ドアハンドルなどにメッキを多用してローレル風に仕立てている。また、背伸びしてツートーンのボディカラーも用意された。

 インテリアはサニーに準じている。だが、ステアリングはローレルと同じ高品質なものだし、シートも豪華なモケット地、ドアトリムも見栄えをよくした。

 メカニズムはB11型サニーから譲り受けているが、車格を重んじて1.3Lエンジンの設定はなく、1.5Lの4気筒だけだ。後期モデルではターボ車も登場する。

日本の小さな高級車と呼ばれるもので、唯一2代目モデルが存在するのがローレルスピリット。ツートーンカラーなど初代以上に高級感を増した
日本の小さな高級車と呼ばれるもので、唯一2代目モデルが存在するのがローレルスピリット。ツートーンカラーなど初代以上に高級感を増した

 サニーは1985年9月に6代目の「トラッドサニー」にバトンを託した。ローレルスピリットは1986年夏に2代目となっている。直線基調の端正なデザインを採用し、存在感の強いリッパなバンパーで差別化を図った。

 サスペンションは4輪ともストラットの4輪独立懸架で、パワーステアリングは全車に標準だ。エンジンは1.5LのE15系直列4気筒SOHCのほか、高性能な1.6LのCA16DE型DOHC、そして1.7Lのディーゼルがある。

 1987年には3バルブ化したGA15型エンジンやフルオート・フルタイム4WDも登場した。が、1980年代を最後に、静かに使命を終えている。

 運転支援システムをてんこ盛りし、快適性も高いゴージャスなコンパクトセダンは、高齢化社会になった今こそ望まれるのではないか!?

今となっては賛否両論あるだろうが、1980年代から1990年代にかけては、この手の高級感もユーザーから歓迎されていた
今となっては賛否両論あるだろうが、1980年代から1990年代にかけては、この手の高級感もユーザーから歓迎されていた

ホンダコンチェルト

販売期間:1988~1992年

全長4415×全幅1690×全高1395mmのシビックのコンポーネントを使ったプレミアムセダン。ホンダ版バンプラとして注目を集めたが、やや期待ハズレだった
全長4415×全幅1690×全高1395mmのシビックのコンポーネントを使ったプレミアムセダン。ホンダ版バンプラとして注目を集めたが、やや期待ハズレだった

 1980年代から1990年代にかけて、ホンダはイギリスのブリティッシュレイランド、これに続くローバーグループと提携していた。

 両社で共同開発したのは、実用的なファミリーカーである。いくつかの作品を生み出したが、XYプロジェクトの結晶として1988年6月にベールを脱いだのがコンチェルトだ。

 この1年後にはイギリスでもアクレイム、ローバー200の後継モデルとして発売されている。

 ベースとなったのは、グランドシビックと呼ばれた第4世代のシビック4ドアセダンと専用設計の5ドアハッチバックだ。

5ドアハッチバックもラインナップしたコンチェルトだが、日本では当時5ドアハッチバックの人気がなく、風穴を開けることはできなかった
5ドアハッチバックもラインナップしたコンチェルトだが、日本では当時5ドアハッチバックの人気がなく、風穴を開けることはできなかった

 エクステリアはシビックより大人っぽいデザインとし、外板パネルはローバー専用とした。

 優雅な6ライトウィンドウを採用し、全長もシビックより185mm長い。トランク部分を延ばしているからシビックより伸びやかに見える。

 5ドアモデルはリアに短いノッチが付く。インテリアはシビックに準じたデザインだが、木目調パネルなどで華やかさを増し、後席にも3点式シートベルトを装備した。

 エンジンは1.5Lと1.6Lの直列4気筒SOHC4バルブで、キャブ仕様と電子制御燃料噴射装置仕様がある。

カローラなどと同じクラスながら、シート素材をはじめインテリアにはこだわりを見せた。木目調パネルも、当時このクラスとしては異例の採用だった
カローラなどと同じクラスながら、シート素材をはじめインテリアにはこだわりを見せた。木目調パネルも、当時このクラスとしては異例の採用だった

 トランスミッションは5速MTと4速ATを設定した。FF車だったが、1988年にはビスカスカップリング式のフルタイム4WDを加えている。

 ホンダ流のバンデンプラプリンセスだったから、こだわり派のアダルト層を中心にファンを増やした。

 が、一代限りで姿を消し、1992年秋にドマーニにバトンを託している。ダウンサイジングに目を向ける人が多い今なら、ウケたはずだ。

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