オペル、ランチア… 日本から撤退したメーカー&ブランド 5選

リンカーン(LINCOLN)

 リンカーンはキャデラックと並ぶアメリカの高級車ブランドとして君臨。元々独立したメーカーだったが、フォードが買収してフォードのブランドとなって長い。

 日本では、リンカーンといえばコンチネンタル、というイメージを持っている年配のクルマ好きは多いが、若い世代は高級SUVのパイオニア的存在のナビゲーターのイメージが強いと思われる。日本で大ヒットしたわけではないが、存在感は絶大だった。

1970年モデルのリンカーンコンチネンタル。写真は1970年にデビューした5代目。フルサイズのアメ車はステイタス性抜群。それにしてもカッコいい!!
1970年モデルのリンカーンコンチネンタル。写真は1970年にデビューした5代目。フルサイズのアメ車はステイタス性抜群。それにしてもカッコいい!!

 ナビゲーターをはじめとするリンカーンの販売は、2016年いっぱいでフォードが日本市場から撤退したことにより途絶えている。現在は並行モノが若干入ってきている程度だ。

 現在日本では正規販売されていないリンカーンが大きな変革期を迎えている。

 2020年7月にセダンのMKZの生産を終了し、2020年いっぱいでコンチネンタルも生産終了することを正式発表。これにより100年以上続いたリンカーンのセダンが消滅することになる。

 2021年にはナビゲーター、アビエーター、ノーチラス、コルセアという4種類のSUVのみのラインナップとなる。

 リンカーンがSUVブランドになると誰が想像しただろうか。

初代コンチネンタルがデビューしたのが1939年で、2019年に80周年記念モデルが登場したにもかかわらず、2020年いっぱいで生産中止。一時代の終焉だ
初代コンチネンタルがデビューしたのが1939年で、2019年に80周年記念モデルが登場したにもかかわらず、2020年いっぱいで生産中止。一時代の終焉だ
リンカーンの最高級SUVのナビゲーターは、高級SUVのパイオニア。リンカーンは、今後ナビゲーターを筆頭とするSUVのみの販売となる
リンカーンの最高級SUVのナビゲーターは、高級SUVのパイオニア。リンカーンは、今後ナビゲーターを筆頭とするSUVのみの販売となる

ランチア(LANCIA)

 WRCでの活躍もあり、インテグラーレの人気もあって日本での知名度は抜群のランチアだが、日本市場から姿を消して長い。

 1980年代初期からランチア車の正規販売を手掛けたガレージ伊太利屋、1988からのマツダともに1998年で正規販売を終了。1999年以降、現在に至るまでガレージ伊太利屋などが一部のモデルを並行輸入している程度にとどまっている。

WRCのグループAを席巻したデルタインテグラーレは日欧で大ヒット。イタリアの高級車メーカーであるランチアの大成功作の1台
WRCのグループAを席巻したデルタインテグラーレは日欧で大ヒット。イタリアの高級車メーカーであるランチアの大成功作の1台
第3世代デルタとして2008年にデビュー。日本には並行輸入車が入ってきただけで、正規販売はされなかった。2014年に生産中止
第3世代デルタとして2008年にデビュー。日本には並行輸入車が入ってきただけで、正規販売はされなかった。2014年に生産中止

 イタリアの高級車メーカーのランチアは、そのほかのイタリアメーカーの例に漏れずフィアット傘下にあるため、現在はFCAの一ブランドとなっている。

 現在はイタリア本国でもコンパクトカーのイプシロンのみのラインナップという寂しい状況で、そのイプシロンを生産しているポーランドの工場が、電動化される新型フィアット500にラインを受け渡し、ゆくゆくは消滅するというのがもっぱらの噂だった。

 しかし2021年からFCAとPSAはステランティスとして新たなスタートを切るのに先立ち、ランチアブランドは存続させることを明言したのは、クルマ好きにとっては朗報だ。

 願わくば、イプシロンだけでなく、新たな車種をラインナップし、魅了してほしい。

2011年にデビューし、日本ではクライスラーイプシロンとして販売された。古いがイタリア本国ではフィアット500に次ぐ販売台数の人気モデルに君臨し続けている
2011年にデビューし、日本ではクライスラーイプシロンとして販売された。古いがイタリア本国ではフィアット500に次ぐ販売台数の人気モデルに君臨し続けている

サーブ(SAAB)

 スウェーデンの航空機メーカーのSAAB(サーブ)の自動車部門として戦後に設立されたのがサーブ・スカニアだった。

 その後GMの支援を受けて、サーブ・オートモービルに車名変更した。

 ラリーでも活躍し、名を世界に広めたサーブは、独特のデザインでも人気を集め、日本ではサーブ900カブリオレが人気になったこともあった。

サーブ900カブリオレは1990年頃に、日本で女性受け抜群で、ちょっとしたブームになった。クラシカルで独特のデザインがオシャレと評判だった
サーブ900カブリオレは1990年頃に、日本で女性受け抜群で、ちょっとしたブームになった。クラシカルで独特のデザインがオシャレと評判だった

 そのサーブは、GMの経営破綻により、路頭に迷うカタチになってしまった。

 オランダのスポーツカーメーカーのスパイカーによって買収されたが、経営難から抜け出せず、最終的には2012年にナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)が買収した。

 しかし、2016年にNEVSはサーブブランドを使用しないことを発表。これによりサーブという名前はクルマ界から消滅してしまった。

 同じGM傘下のメーカーでも、自主再建を目指し、見事復活を遂げたオペルとは対照的な結末となってしまった。

航空機メーカーの自動車部門の名残から、名機37ビゲンにちなんだ、スポーツモデルの9-3ビゲンをラインナップし、マニアックな層から支持された
航空機メーカーの自動車部門の名残から、名機37ビゲンにちなんだ、スポーツモデルの9-3ビゲンをラインナップし、マニアックな層から支持された

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