クルマの前と後ろに付いているナンバー。「たかが数字」と侮るなかれ。希望ナンバーを装着する人には、深い思い入れや意味、物語、そして喜びがあるのです。
「希望ナンバー」をテーマに、車種別・主要都市別の人気ランキング、そして希望ナンバーを取得しているオーナーさんへの直撃取材などをお届けします!
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※本稿は2020年9月のものです。
文/松村 透、写真/写真AC・ベストカー編集部ほか、取材協力/一般社団法人全国自動車標板協議会
初出:『ベストカー』 2020年10月10日号
■希望ナンバー事情と人気ランキング
1999年5月開始の「希望ナンバー制度」。20年以上経過した現在の希望ナンバー事情と人気ナンバーは?
「希望ナンバー」とは、所有するクルマのナンバープレートに希望の番号を選ぶことができる制度だ。1999年5月に開始され、20年以上経過した現在ではすっかり定着した感がある。対象車両は自動車(自家用・事業用)と、軽自動車(自家用)。事業用の軽自動車とバイクは非対象だ。
希望ナンバーには「抽選対象希望番号」と「一般希望番号」の2種類がある。「抽選対象希望番号」には「全国一律」と「地域ごとに追加された番号(軽自動車用も独自に設定)」が存在する。
ちなみに、全国一律の抽選対象希望番号は「1、7、8、88、333、555、777、888、1111、2020、3333、5555、7777、8888」だ。
また、希望ナンバーは受注生産のため、通常より料金が高い。種類や地域によって異なるが、目安としては中型(小型・普通自動車)、軽自動車ともに4000円台。自光式はさらに高くなり、5000~7000円ほどとなっている。
今回、一般社団法人全国自動車標板協議会が作成したデータ(2019年7月末時点)をもとに、3/5ナンバー、軽自動車の人気希望ナンバーランキングTOP20と、全国政令指定都市の人口ランキング上位16位の人気希望ナンバーTOP5を独自にまとめてみた。
結論から言うと「人気のあるナンバーは、地域やクルマの種類を問わず不変である事実」が浮き彫りになった。と同時に、整理してみたことで見えてきた興味深い実態も明らかになったのだ。
■3ナンバー車は1ケタ好き!!?
まず、3/5ナンバー、軽自動車の人気希望ナンバーランキングTOP20からチェックしていこう。
5ナンバーと軽自動車のランキングの上位は傾向が似ているのに対して、3ナンバーは圧倒的に1ケタの希望ナンバーが人気だ。なんと4位までを1ケタが独占している。
1ケタナンバーは覚えやすい反面、クルマによっては目立ってしまいがちだが、大きめのモデルを選ぶ人はそんなことを意に介さないのかもしれない(!?)。
そして、なかでも興味深いのは“エンジェルナンバー”の「358」の人気。3ナンバーで13位、5ナンバーで12位、軽自動車で6位にランクイン。
この「358」の意味は風水によるもの。風水では縁起がいい3(金運)、5(帝王)、8(風水における最良の数字)を組み合わせたこのナンバーは、今後さらに人気が高まる予感。
そのほか、「8888」はどのカテゴリーでも人気。縁起をかつぐ人がそれだけ多いということかもしれない。
■「2番じゃダメなんですね」。そして、「5678」って何?
次に、全国政令指定都市上位16地域のTOP5をみていこう。
「2525(ニコニコ)」と「1122(いい夫婦)」「1(一番)」の人気は不動だという事実が改めて判明。
特に「1」の人気は全国的にすさまじいものがある。希望ナンバーを選ぶ人は、2番ではダメな人が多いのかもしれない。
また、意外なことに「2525」と「1122」は全国一律の抽選対象希望番号に含まれていない。しかし、これだけ人気が高いと、今後は全国一律の抽選対象に格上げとなるかもしれない。
その他、興味深いのは京都市の「5678」だ。これは西日本エリアで人気のナンバーで、今回紹介できなかった17位以降の西日本エリアの政令指定都市でランクインしているケースが目立った。
前出の「358」をはじめとする“エンジェルナンバー”のひとつで、縁起がいいとされる番号を組み合わせた希望ナンバーだ。「5678」は、4(死)と9(苦)を含めない唯一の連番であることが人気の要因のようだ。
■もはやお約束!? 説明不要なクルマにまつわる希望ナンバー
クルマ好きにはもはや説明不要だろう。ヒネリなしのあまりにもストレートなセレクト! クルマの型式や車名を連想させる愛車のナンバーは、もはや鉄板中の鉄板。
その他、映画やドラマ、マンガなどに登場する劇用車と同じ数字を選ぶ人も少なくない。人と被るのがイヤという場合、「3250」(ミニゴー)や「3201」(サンニーナンバーワン)という、多少のヒネリが入る。
また、あぶない刑事のレパード「4505」のように、あえて“あぶデカ”のほかのシリーズに登場した劇用車のナンバーを選ぶ方法もある。希望ナンバーは、重要な「自己表現ツール」ともいえるのだ。
●クルマ好きの鉄板ナンバー!
・86(ハチロク/86)
・32(R32GT-R/Z32他)
・33(R33GT-R/Z33他)
・34(R34GT-R/Z34他)
・660(ホンダS660他)
・555(スバルのラリーカー)
・787(マツダ787B)
・5417(あぶない刑事のレパード)
・3298(ミニクーパー)
・911(ポルシェ911)
■希望ナンバー「語呂合わせ」エピソード集
希望ナンバーは「語呂合わせ」の宝庫。意味明瞭なものから難解なものまで、実に奥が深い。実際に登録されている事例をいくつかご紹介。
矢沢永吉ファンであれば「830」がお約束。「5296」のナンバーはコブクロファンの可能性が高く、「7216」は名曲「夏色」を歌う、ゆずのファンだろう。
また、「51」は「鯉」で広島カープファン、ヤクルトスワローズファンであれば「2896」(つば九郎)もありだ。
まだまだあります。「720」はナニワ(大阪)で、「1110」は川口(埼玉)、「2983」は筑波山(茨城)。「3153」(西郷さん)は鹿児島で見られる語呂合わせナンバーとのこと。
「299」(肉球)は犬や猫好きだろうし、「530」(ごみゼロ)はキチンとした性格の人でしょう。しかし、ドラえもんの誕生日(年)にちなんで「2112」はさすがにわかりにくいかも(笑)。ちなみに、セブンイレブンオーナーの愛車のナンバーは「711」が多いとか。
■オーナーへ直撃取材してみてわかった「なぜこのナンバー?」
希望ナンバーを選んだ理由は人それぞれ。ここでは12人のオーナーにご協力いただき、選んだ理由を聞いた。それぞれの希望ナンバーに込められた「ワケ」とは?
●「180」M.Sさん/日産180SX(1997年式)
── M.Sさんの愛車は根強い人気を誇る180SX。希望ナンバーもお約束の……?
「はい。“180”です(笑)。お察しのとおり車名からこのナンバーを選びました」
一応伺いますが、ほかに迷ったナンバーは?
「“1980”です。以前の愛車、デミオのナンバーです」
今後、選んでみたいナンバーはあります?
「型式にちなんだ“13”や、年式の“1997”、納車日の“919”ですね!」
●「795」トラ西さん/ホンダシビックタイプR(2007年式)、日産キューブ
── シビックタイプRとキューブが愛車というトラ西さん。希望ナンバーを選んだ理由は?
「タイプRのナンバーは“795”、キューブは“7777”です。前者はFMラジオ局の周波数として地元ではおなじみで、後者はラッキーセブンを合わせてみました(笑)」
──鉄板ですね! 今後、選んでみたいナンバーは?
「星野インパルにちなんで“12”、思い出のナンバー“7891”、トラック野郎ジョナサン号の“1073”などです」
●「1018」YMさん/スバル レヴォーグ(2017年式)他
──レヴォーグとロードスターが愛車というYMさん。希望ナンバーを選んだ理由は?
「両車ともナンバーは“1018”。私の誕生日です。自分のクルマという感覚が強くなり、愛着が増すと思ったからです」
──もしや、歴代の愛車はすべて“1018”ですか?
「希望ナンバーを選べるようになってからずっとそのナンバー。これからもそうします」
●「703」べっくしさん/トヨタ ハイエース(2011年式)他
──ハイエースとN-BOXが愛車だというべっくしさん。希望ナンバーを選んだ理由は?
「ハイエースは“703”。これは妻の名前(ナオミ)にちなんで選びました。N-BOXの“6311”は3人の子どもたちの誕生月にちなんでいます」
──おお! 希望ナンバー制度を有効活用しています。ということは、乗り換えるとしても?
「もちろん、同じナンバーを選ぶと思います」
●「5555」そろそろ40さん/ホンダ N-ONE(2013年式)
── N-ONEが愛車のそろそろ40さん。なぜ“5555”を選んだのですか?
「それ以前のナンバーはクルマ屋さん任せで、苦労を連想させる番号が続きました。そこで、今回は覚えやすいゾロ目にしました」
── しかも、オリンピック仕様!
「応援のつもりで“Go Go”的ノリで選びました(笑)」
●「7007」コウイチさん/ホンダ N-BOX(2019年式)
──大人気モデルN-BOXが愛車のコウイチさん。なぜこのナンバーを?
「前の愛車がヴォクシーで、この時のナンバーは“5005”。数字の並びがキレイなので、今回は“7007”にしました」
──見た目のきれいさですね。すんなり取得できましたか?
「取得できました。意外にも抽選ではなかったんです」
●「2106」T.Sさん(50歳)/ホンダ S2000(2009年式)
── 愛車はS2000。希望ナンバーを選んだ理由は?
「ディーラーの担当セールスさんが希望ナンバーをおまけしてくれる、ということで……」
── “2106”ってS2000にちなんだ番号なのですか?
「希望ナンバーを迷っていた時、名前にちなんだ番号はどうですか? とセールスさんが提案してくれたんです。私の名前(ツトム)を数字に置き換えてこれになりました」
●「409」おおもりやさん/VW ゴルフ トゥーラン(2016年式)
── ゴルフトゥーランが愛車のおおもりやさん。なぜこのナンバーなんですか?
「結婚記念日です。4月9日に入籍したので“409”です」
── 奧さま思いですね。いつか選んでみたいナンバーは?
「子どもが1月26日生まれなんです。いつか程度のいいベンツ560SEL(V126型)を手に入れて、希望ナンバー“126”を選びたいです。
●「917」GKさん/日産エルグランド(1998年式)
── エルグランドが愛車のGKさん。なぜ“917”を選んだのですか?
「私自身、ナローポルシェとの付き合いが長く、栄光のル・マンに登場したポルシェ917にちなんでいます」
── なるほど! そうきましたか。ちなみに、ほかに迷ったナンバーはありましたか?
「904、906、908も迷いました(笑)」
●「8」SRさん/マツダRX-8(2003年式)
── RX-8が愛車のSRさん。一応伺いますが、ナンバーの“8”は言うまでもなく……?
「車名です。中学生の頃から“ナンバー8の黄色いRX-8に乗る”と決めていました」
── 少年時代の夢を現実にしたんですね。おめでとうございます! いつか選んでみたいナンバーはありますか?
「ロータリー乗りとしては“1308(排気量)”は外せません」
●「2401」Kさん/トヨタハイエース(2014年式)
── 仕事の相棒としてハイエースを所有するKさん。なぜ“2401”を選んだのですか?
「社用車のハイエースが3台ありまして……。社名の略である“24”と、号車番号の“01”をつなげて“2401”に。社用車には0号車もありますよ」
── 地元の人なら、もしかしたら“2401”でピンとくる人がいるかも……。
「ちなみに、自家用車は普通のナンバーなんです」
●「3909」K.Kさん/デイムラー ダブルシックス(1993年式)
── デイムラー ダブルシックスが愛車のK.Kさん。“3909”を選んだ理由は?
「自身が経営する店の屋号“居酒屋まる久”が由来です」
── なるほど。居酒屋まる久さんは、地元で30年以上も愛されている名店。それだけに、親子2代で通う方も多いとか。
「お客様への感謝の気持ちを込めて“3909(サンキュー・マルキュー)”ですね」
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【番外コラム】編集部の関係者にもいましたよ~!!
いつも執筆をお願いしている評論家から、まずは清水草一さん。フェラーリ328は「12」(12代目なので)、DS3は「27」(F1フェラーリの伝説的ナンバー)、BMW320dは「820」。この820って何でしょ? 「ハニワが好きなので820ね」とのこと。
竹岡圭さんのミニクロスオーバーは「2016」。「ラリーを始めた年にちなんで。ラリーは大きな出来事なので、その決意を忘れないために」。また、ラリーカーのポロGTIは「2019」。去年購入したのでその数字とのこと。
岡本幸一郎さんは実家にある自分名義の現行スカイラインが「5160」。「5160(幸一郎)です。1999年、かなり無理をして買ったキャデラックセビルを皮切りにこれまで11台も5160です(笑)」。
講談社ビーシー営業部のKは子どもの誕生日を愛車の希望ナンバーに。鉄板だね~と思ったら、ベストカー編集部のIとBも子どもの誕生日。元編集部のHも奥様の“強い希望”のもと、子どもの誕生日に。