ボルボはソフトウェアのアップデートに積極的
安全装備以外も含めたソフトウェアの性能向上は技術的には可能でも、自動車メーカーが行う場合には大きな責任が伴うこともあり、残念ながら実例は多くない。
その中で積極的なのはボルボである。
安全装備では2016~2018年モデルの90シリーズ(S90、V90、V90クロスカントリー、XC90)に盛り込まれる内容を、ソフトウェアのアップデートでグレードアップするというものがある。
ボルボのアップデートサービスは以下のとおりだ。
(1)ランオフロード・ミティゲーション(道路逸脱回避支援機能)
道路外に逸脱するようなステアリング操作が行われた際に、ステアリング操作と場合によっては元の車線に戻すためのブレーキ介入を行う。
(2)ステアリング・アシスト付BLIS(後車衝突回避支援機能付ブラインドスポット・インフォメーション・システム)
斜め後方を監視するBLIS作動中に車線逸脱や進路変更により隣車線を走行するクルマと接触する危険がある際に、ステアリングを修正し、衝突回避をアシストする。
(3)オンカミング・レーン・ミティゲーション(対向車線衝突回避支援機能)
対向車との正面衝突の恐れがある際、ステアリング操作を補い衝突回避をアシストする。
(4)City Safety対向車対応機能
自車線に侵入してきた対向車との正面衝突の恐れがある際、自車のブレーキを作動させ被害を軽減する。
というようにその内容は多岐にわたるので、アップデートにはディーラーでの作業が必要となる。
価格は(1)~(3)のセット、(4)がそれぞれ9288円(消費税、取り付け工賃別)と、内容を考えれば非常にリーズナブルだ。
なおボルボのソフトウェアのアップデートによる性能向上では、コンピューターチューンによるパワーアップ&性能向上である「ポールスター・パフォーマンス・ソフトウェア」(20馬力程度パワーアップすることが多い)も人気だ。
こちらは多くのモデルに対応している上に、メーカー保証が継続されるのもありがたく、価格は18万7521円+取り付け工賃と、非常にリーズナブルだ。
テスラのアップデートはパソコン的手法
もう1社ソフトウェアのアップデートによる安全装備の性能向上に熱心なのがテスラだ。
ただテスラのソフトウェアのアップデートは本当にパソコンと同様で、ディーラーに持ち込むことなく、クルマとメーカーのコンピューターとの交信で行われる。
これは便利な反面、IT業界でいうハッキングのようなことに遭うリスクがあるのも事実だ。
テスラのソフトウェアのアップデートによる性能向上は把握できないほどあるのだが、安全装備ではハンドル操作をアシストする速度域の拡大が代表的だ。
ソフトウェアのアップデートによる性能向上は技術的にはいろいろなことが可能だが、トヨタやボルボのようにディーラーでの作業を伴った上で、可能な範囲で安全装備の機能向上を進めていくというのが当面は現実的なところだろう。
コメント
コメントの使い方