貴重なディーゼル搭載ミニバン
直列4気筒2.2Lクリーンディーゼルターボエンジンにも注目したい。ディーゼルを搭載するミニバンは、デリカD:5以外ではグランエースのみだ。貴重な存在ともいえるだろう。
ディーゼルの最大トルクは38.7kgmだから、3.5Lのガソリンエンジンに相当する。この駆動力を実用域の2000回転で発揮するから、ゆっくりと着実に進む悪路でも運転しやすい。車両重量は約2トンに達するが、パワー不足は感じない。
燃費性能も優れ、WLTCモード燃費は12.6km/Lだ。
軽油価格はレギュラーガソリンに比べて1L当たり約20円安いので(2020年10月中旬の全国平均価格は115円/L)、1km走るための走行コストは9.1円だ。
この金額は、2Lのノーマルガソリンエンジンを搭載するヴォクシーの2WD仕様と同等になる。
つまり、デリカD:5は駆動力が高く、4WDも搭載する割に、燃料代を抑えられる。
ミニバンとしての快適性にも優れている
そしてデリカD:5は、多人数乗車時の居住性も優れている。
3列目シートのスライド位置を後端まで寄せると、各座席の足元に十分な空間を確保できる。身長170cmの大人が多人数で乗車した場合、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ2つ分に調節すると、3列目には握りコブシ2つ半の余裕ができる。
居住性はセレナやヴォクシーを上まわり、全長が4800mm以下のミニバンでは、デリカD:5が最も快適だ。
従って多人数で乗車して、長距離を移動する用途にも適する。多人数で乗車するとエンジンに大きな負担が生じるが、ディーゼルは実用回転域の駆動力が高いから登坂路でも不満を感じにくい。
燃費効率も優れているから、長距離を移動しても燃料代はさほど気にならない。
悪路走破力が高いので、長距離ドライブの途中で天候が悪化しても、不安を感じにくい。
数年後の売却が高値安定だから安心
このようにデリカD:5は、外観が個性的で走破力も高めながら、一般的なミニバンとしての使い勝手や経済性も優れている。
そのためにデリカD:5には熱心なファンが多く、中古車市場での人気も高い。購入して数年後の売却額も高値安定型だ。
デリカD:5の残価設定ローンの3年後の残価率(新車価格に占める残存価値の割合)は55%と高い。一般的には3年後であれば45%前後の車種が多いので、デリカD:5なら高い金額で売却できる。
ということで残価設定ローンを使うユーザーにも有利だ。数年後の残価を除いた金額を返済するので、残価が高ければ、月々の返済額を安く抑えられる。
このように高値で売却できることから、デリカD:5を何台も乗り継ぐユーザーも多い。購入した3~5年後に、高い金額で手放せると、改めて新車を購入したくなる。
そのためにデリカD:5は、発売から10年以上を経過する割に売れ行きが堅調だ。
2020年度上半期(2020年4~9月)の登録台数は、コロナ禍の影響もあって600台少々だが、2019年(暦年)の1カ月平均は約1700台に達した。前述のとおり高値で売却できることもあり、好調な売れ行きが保たれている。
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