コンパクトスポーツセダンへのこだわり
逆にレクサスがISを継続する理由は、コンパクトなセダンのニーズが主力の日米市場で見込めることにある。
と聞くと、フォードでさえセダンの販売を終了するという米国でなんでISの需要が見込めるのかという疑問も湧くだろう。
が、ISはハンディなサイズで上質かつ適価なスポーツセダンとして若年層の人気が高いという。実はここにFRレイアウトの功があったというわけだ。
ISがビッグマイナーチェンジというかたちを採った理由も、実はここに由来している。新しいGA-Lプラットフォームでは車体がどうしても重くなりISらしいスポーティネスを演出するのが難しい。
いっそうのドライビングプレジャーを提供しながら、適価であることにも配慮するなら、骨格はキャリーオーバーしたほうが正道だという結論に達したというのは、先代から14年以上ISの開発に携わり続けている小林直樹チーフエンジニアだ。
つまり、新しいISはセダンラインナップにおいてもLSやESとは一線を画し、多彩なパワートレインと鋭敏な運動性を特徴としたコンパクトスポーツという位置づけをより明確化することを狙った結果の、ビッグマイナーチェンジになったということになる。
2Lターボの進化が顕著
エクステリアに負けず劣らず手が加えられたのは車体骨格周りだ。とりわけ小林CEが拘ったのが、ハブを形式変更し、ホイールの締結をナット締めではなく、ロングポルトをハブ穴で受けるボルト締めにしたこと。
欧州車では見られる形式だが、これにより締結トルク向上による剛結化と、4輪合わせて1kgのバネ下重量低減が実現できたという。
これ以外にもアーム類の鍛造アルミ化やコイル&スタビライザーに高応力材を用いるなどして、バネ下重量は更に低減されている。
併せて、モノコック側もピラー構造の見直しやラジエターサポートの強化、フレームや開口部のスポット増しなどで剛性が高められた。
現状は詳細な仕様は不明だが、基本グレード構成は2L、直噴ターボのIS300、2.5L、ハイブリッドのIS300h、そして3.5L、V6のIS350という3本立てになることは間違いないだろう。
プロトタイプの試乗では各パワートレインを試すことができたが、大きく変貌を遂げたのは意外にも2Lターボだ。
以前は5000rpm超えでパワーの伸びもガクンと鈍り、サウンドも褒められたものではなかったが、新型のそれは数値的な違いはなくも、6000rpmを超えるところまでしっかり回り、音の濁りも随分抑えられた。
ようやくスポーツモデルとして認められるキャラクターになったといえるだろう。
ターボに比べるとハイブリッドとV6には大きな変化を感じなかったが、とりわけ自然吸気のV6は少数派とはいえ、今やライバルが持ち得ないものであることを鑑みれば、確かに継続すべきキャラクターだったと思う。
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