■長距離仕様の電気トラックも! 来年の量産化へ向けて順調に試験運用中
またダイムラー・トラックは同日、電気長距離仕様トラックのメルセデス・ベンツ「eアクトロスロングホール」も初披露した。
これは特定のルートを走行する定期便を最も高いエネルギー効率で行なうことを想定し設計したトラックで、1回の充電で約500kmの航続距離を実現。この長距離仕様の「eアクトロスロングホール」については2024年に量産準備が完了する予定だという。
いっぽう、都市配送向けの電気大型トラックであるメルセデス・ベンツ の「eアクトロス」は、2018年に発表されて以来、顧客による日々の試験運用が実施されているが、ダイムラー・トラックは同車の量産を来年より開始する予定だという。
「eアクトロス」量産タイプは、1回の充電での航続距離がプロトタイプ時の約200kmを大幅に上回る見込みになっている。
ダイムラー・トラックでは、北米市場と日本市場でも欧州と同様の車両投入スケジュールを予定しているという。
2022年までに、ダイムラー・トラックの主要販売地域である欧州、米国、日本において、商品ポートフォリオにバッテリー式電動車両の量産型を含める計画を立てている。
同社はまた、欧州、北米、日本において、2039年までに新車ラインアップはすべて走行中(タンクから車輪まで)にカーボンニュートラルを実現する車両のみで構成するという野心的な計画も掲げている。
ちなみに欧州議会とEU理事会は昨年2月、「COP21パリ協定」の目標達成に向けて大型商用車のCO2排出量を2025年までに対19年比で15%、30年には30%削減するという厳しい環境規制を策定している。
ディーゼル車の改良だけでこの環境規制をクリアすることはむずかしいため、電動化や水素燃料電池の実用化が待ったなしの状況になっているわけだが、それは日本も例外ではない。
■大手トラックメーカーが垣根を越えて電化に着手。新しい時代は確実にそこまできている!
今年1月15日にいすゞ自動車と本田技研工業の子会社である本田技術研究所がFC大型トラックの共同研究契約を締結したのに続いて、3月23日にはトヨタ自動車と日野自動車がFC大型トラックの実用化に向けた共同開発を発表。
続く26日には三菱ふそうトラック・バスがCO2排出削減に向けた取り組みを強化し、2020年代後半までにFCトラックを量産化する計画を明らかにしている。さらに4月21日には、今回のダイムラー・トラックとボルボグループがFC事業の合弁会社を設立するという大きなニュースもあった。
世界1位と2位のトラックグループが手を携えて燃料電池システムを開発・製造・販売する新規共同事業を立ち上げるというの極めて注目される動きだろう。
また、イヴェコを擁するCNHインダストリアルは米国の二コラ・モーターとFC大型車開発の独占的戦略提携を結ぶなど、メーカーの垣根を越えた態勢づくりは確実に進んでいる。
世界は確実に燃料電池トラックへと舵を切り始めているのだ!
(トラックマガジン「フルロード」編集部)
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