付いているだけじゃ安心できない!? 自動ブレーキは性能で「事故率」に大差 

 スバルが自動ブレーキの事故率について最新のデータを公表した。

 多くの人は「自動ブレーキ付きなら安心」と考えているようだけれど、驚くべきことにアイサイトであってもVer2からVer3になって明確に事故率の差が出ている。

 他のメーカーの自動ブレーキならどうなるだろう? 以下、貴重なデータからわかることを紹介してみたい。

文/国沢光宏
写真/スバル
参考データ/SUBARU『アイサイト搭載車の事故件数調査結果について』

【画像ギャラリー】アイサイトXを搭載したスバル新型レヴォーグをみる


アイサイトもバージョンによって事故率に違いあり!

 まず交通事故で最も減らしたい「対歩行者」はどうか。アイサイトなしのスバル車に関連する1万台あたりの歩行者事故率は、14件となってます。

 アイサイトVer.2付きのスバル車になると7件となり、事故を半分に減らせている。歩行者を検知して自動ブレーキを掛けてやると、事故を半分にできるというのだから有用だし素晴らしい!

この調査は交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータを基にスバルが独自に算出したもの。図ではアイサイトVer.2搭載車と非搭載車の比較である。搭載車になると7件と歩行者事故が半減している(出典:SUBARU『アイサイト搭載車の事故件数調査結果について』より)

 Ver.3は、カメラをモノクロからカラーにグレードアップしただけでなく、画像解析速度を早くしてクルマの陰から出てくる歩行者まで検知して自動ブレーキを掛ける。

 結果、対歩行者故は3分の1になった! 同じ歩行者対応でも、クルマの陰から出てくる実際の事故に近い状況で適切に機能していると言うことを示すデータです。

アイサイトVer.3では、カメラがカラーに代わり、画像解析速度が速くなった。この技術の進化により、対歩行事故は非搭載車に比べ、3分1になった(出典:SUBARU『アイサイト搭載車の事故件数調査結果について』より)

 参考までに書いておくとクルマの陰から出てくる歩行者に対する自動ブレーキ性能は、同じVer.3であっても新世代プラットフォームのインプレッサやフォレスターで40km/hまで停止可能。

 それ以前のモデルは30km/hと若干違う。厳密に言えば事故率も違ってくると思う(新型レヴォーグの新世代アイサイトは格段に向上しているようだ)。

安全の鍵握る歩行者&夜間対応の可否

 ここまでのデータからわかることは2つ。そもそも歩行者を検知できないタイプの自動ブレーキだと対歩行者事故を減らすことなどできない。

 カメラが付いていないレーザーやレーダーだけの自動ブレーキシステムだと、付いていないのと同じ。歩行者居てもそのまま突っ込みます。自分のクルマのシステムを改めてチェックして欲しい。

歩行者を検知できないタイプの自動ブレーキだと、対歩行者事故を減らすことができない。アイサイトでは、街中での障害物をこのように認識している

 もうひとつ。アイサイトは夜間でも市街地程度の明るさなら歩行者を検知できる。けれど歩行者対応タイプと言われている自動ブレーキでも、夜間に使えないケースが多い。

 対歩行者の事故は夜間に70%起きてます。Ver.2が事故を50%に減らせるデータから想定すると、夜間の歩行者に対応していない自動ブレーキだと15%しか減らせない。

 対車両事故はどうか? 自動ブレーキが最も効果を発揮する追突事故は、対車両事故の3分の1程度を占める。これをどの程度減らせるか、だ。

 アイサイトなしのスバル車の追突事故率は1万台あたり56件とのこと。これが停止している車両に対し50km/hノーブレーキで接近し、自動停止できるVer.2装着車だと84%もの事故を未然に防ぐ!

 さらに基本的な停止可能速度は同じく50km/hながら、走行中の自動ブレーキ性能を向上させた(高速道路などで先行車が急ブレーキ掛けた時に自動ブレーキ)Ver.3になると驚くべきことに89%もの事故を防いだ。

アイサイトVer.2装着車だと84%もの事故を未然に防ぐことができる。さらにVer.3になると89%もの事故を防ぐ(出典:SUBARU『アイサイト搭載車の事故件数調査結果について』より)

 新世代アイサイトは、70km/hから止まれるポテンシャルを持つそうな。おそらく95%以上の事故を防止できることだろう。

 これまた性能の低い自動ブレーキだと厳しい。解析能力が極めて低いレーザーセンサーだけを使っている自動ブレーキは、車速30km/h以上になると誤稼働防止のため機能を停止させてしまう。

 つまり、30km/h以上になったら付いてないのと同じこと。事故防止性能からすると、Ver.2の半分以下だと考えていいんじゃなかろうか。

性能低いタイプとは雲泥の差? 最新の高性能自動ブレーキは

 また、レーダーを使っているタイプや、最新型車でも簡易型のステレオカメラを使うタイプは50km/hから止まれないクルマが少なからず存在する。アイサイトなら停止できても、性能低いタイプだと追突してしまう。

 繰り返すが自分のクルマに付いている自動ブレーキの性能を認識しておくことを強くすすめておきたい。

トヨタの最新モデルも歩行者&夜間対応型の高性能な自動ブレーキを搭載

 現在、夜間の歩行者や遮蔽物ある歩行者に対し、高い速度にまで停止できる自動ブレーキが付いているのは、マツダ全モデルと、トヨタと日産、ホンダ、スバルの新世代タイプのみ。

 これから新車を買うのなら、ぜひ高い事故防止性能を持っている車種を選んで欲しいと思う。交通事故さえ避けられたならクルマは本当に楽しくて便利な相棒です。

新世代アイサイトに搭載される高機能型自動ブレーキは、追突事故以外にも対応している

 新型レヴォーグに採用された新世代アイサイトに代表される高機能型自動ブレーキは、追突事故以外にも対応している。

 見えにくい交差点や駐車場から出て行くときに車両や自転車など居たら自動ブレーキ掛けるし、駐車スペースからバックで道路に出るときも接近車両居たら自動ブレーキ。車線変更時の左右に車両居たら、ハンドル切っても曲がらない。

アイサイトXでは見えにくい交差点や駐車場から出て行くときに車両や自転車などがいたら、検知し、警報、そしてブレーキ制御をかけるシステムがある

 右折時の交差点に歩行者居れば自動ブレーキ等々、事故の要因を一つずつ潰そうとしている。最新世代の自動ブレーキ付きの車両であれば、おそらく全ての事故を90%以上減らせる(個人的には95%くらいだと考えている)能力を持つ。

 クルマは加害性を持っている”道具”だ。買い換えるときは社会のためにも高性能自動ブレーキ付き車を。

【画像ギャラリー】アイサイトXを搭載したスバル新型レヴォーグをみる