“ぶつからないクルマ?” が劇的進化
そして長年にわたり運転支援機能を手掛けてきたメーカーがスバルだ。1999年にレガシィランカスターADAが発売され、2個のステレオカメラを使った運転支援を実現させた。
2010年にはレガシィにアイサイトバージョン2が搭載され、割安な価格と「ぶつからないクルマ?」というCM効果で好調に売れた。
この時に衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能に対するユーザーの関心が高まり、安全装備の普及に大きく貢献した。そして2020年10月に発表された新型レヴォーグは、新しいアイサイトXを採用する。
アイサイトXは進化した運転支援機能で、そのベースには、アイサイトの性能向上がある。
新型レヴォーグはステレオカメラを全面刷新して、前側方レーダー、後側方レーダー、後部の超音波センサーも装着した。ブレーキブースター(ブレーキ力を高める装置)は電動式になり、アイサイトによる反応を向上させている。
これらの効果で、まずは衝突被害軽減ブレーキをはじめとする安全性が向上した。自車が右左折する時も、直進してくる対向車や歩行者を検知して、衝突回避が可能になる。
2車線道路などを走行中、車線変更を含めて隣車線の車両と接近した時は、警告を行って元の車線へ戻るようにステアリングを制御する。
衝突被害軽減ブレーキの作動中も、ブレーキ制御だけでは衝突回避が困難と判断された場合、左右にスペースがあれば操舵による回避操作を支援する。
前側方レーダーも採用したから、左右の見通しが利かない枝道などから大通りに出る時など、側方から接近する車両を検知して警報を発したり衝突被害軽減ブレーキを作動させる。
これらの安全装備は、世界初ではないが先進的な部類に入る。スバル車としてなら初採用の機能も多い。
アイサイトXは運転支援機能が高度化
そしてアイサイトXは、運転支援機能をさらに高度化させている。自動車専用道路において作動するシステムで、衛星からの情報や3D高精度地図データも使う。
アイサイトXで最も注目されるのは、時速約50km以下の渋滞時に作動するハンズオフ(手離し)機能だろう。
作動中はステアリングホイールを保持していなくても操舵制御が続き、一定の車間距離を保ちながら先行車に追従走行する。ステアリングとペダル操作の両方が軽減され、渋滞時の停止と発進も支援される。
ドライバーモニタリングシステムも併用され、ドライバーが前方を見ていない時は、ステアリングホイールを保持するように注意を促す。
それでも反応しない時は、ドライバーに異常が発生したと判断する。運転支援を続けながら減速して、ハザードランプとホーンも作動させ、異常の発生を周囲に知らせる。
なおレヴォーグには、通信機能を使ったSOSコール機能などが採用され、エアバッグ作動時には自動的にコールセンターへ接続される。乗員に呼びかけを行い、応答しない時は消防や警察に自動通報する。
それなのにドライバーモニタリングシステムがハンズオフ走行時の異常を検知しても、通信機能とは連携しない。
ドライバーの異常を把握できるのだから、エアバッグ作動時と同様、コールセンターへの自動接続や消防と警察への通報も行うべきだ。
アイサイトXでは、高速域の運転支援機能も向上する。
先行車がいない時でも、カーブの手前では減速するなど速度制御を行い、料金所を通過する時も30~35km/hまで下げる。
アクティブレーンチェンジアシストの機能もあり、70~120km/hで走行中、ドライバーが方向指示機を作動させると、車線変更の操舵支援を行う。
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