■ホンダ関係者に聞く「今、ホンダに何が起きている?」
唐突にも思える今回のF1参戦終了表明。ホンダは果たして何を考えているのか、匿名を条件に、内部の人間に話を聞いた。
去年の10月くらいからですかね、この先F1をどうするのかという話が出てきたのは。それまでもF1に関する反対論というのは社内にあったんですよ。それこそ前社長の伊東が再参戦を決めた頃からね。
今回の終了決定は個人的には理解できます。メルセデスさんにしろルノーさんにしろ4輪しかやってないじゃないですか。でもホンダは2輪もあるし汎用機器もあるしジェットもある。そういうなかでF1にこれ以上お金をかけるのは将来に不安があるということです。
将来にホンダを残すためにはF1に割いていた人材をほかの事業に振り分けていく必要がある。ファンの方に支えられてきたホンダですけど、どれかを「ごめんなさい」しないと、ほかの事業で消えていくことになるんですね。
──「終了」という表現が気になるが?
来年でサプライヤーとして契約が終わるので、それで終了ということです。この先ですか? F1を終了して目指すカーボンニュートラルが実現したとしたら、また何か考えるかもしれませんが、現時点ではなにもわかりません。 (了)
■F1撤退、インディ継続で気になるホンダ今の評判 in USA
(TEXT/桃田健史)
F1は撤退するがインディは継続するというホンダ。インディは日本のホンダから独立した組織がやっているといわれるが、素直に納得はできない。やはりホンダも北米重視なのか? そんなホンダのアメリカでの評判を聞く。
F1撤退でもインディ継続。まさに、ホンダの北米市場重視を象徴している。
以前から、こうした企業姿勢は明確だったが、直近でも状況は同じだ。決算資料を見ると、仕向け別の利益では全世界のうち約半分は北米に集中している状況だ。ホンダはアメリカ人にウケがよいのだ。
モータースポーツの分野で見ると、ホンダの北米対応はインディ参戦までは結構、地味だった。アキュラとして量産車レースに出た後、耐久レースIMSAの下部カテゴリーにステップアップしていた。
そうしたなか、北米各地のホンダ・アキュラ販売店経営者らの間で「ぜひ、インディに」という声が上がった。
インディ参戦調査時点から、筆者は当時のホンダ幹部らと意見交換してきたが、ユーザー、販売店、そしてホンダ北米法人アメリカンホンダの強い要望をホンダ本社が受け入れるかたちでインディ参戦へのGOサインが出た。
ホンダが売れる市場で積極的なマーケティング活動を展開するのは当然である。
そんなアメリカで、アメリカ人にとってホンダ、またアキュラのイメージは、日本人が描くそれとは大きく違う。
故障が少ない、耐久性がよいといった、日本車信仰論を下地にして、「先進性」や「ファッショナブル」という上級イメージが強い。
そのなかでC/Dセグのシビック・アコードは定番中の定番である。SUVでは一時のパイロット大ブレークは収まったものの、モデル末期のCR-Vも根強い人気を誇る。トップエンドのNSXも、アメリカ人が商品企画の中核にいて、北米生産という文脈がアメリカ人にウケる。
EV中心にGMとの協業が進むホンダのアメリカ戦略。インディもGM協業になる?
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