日産エルグランドの苦悩と一縷の望み かつての帝王は大幅変更で復権なるか?

エルグランドの廃止に踏み切れない事情

 それならエルグランドを廃止する方法もあるだろうが、なかなか踏み切れない。エルグランドは高価格車だから、マイナーチェンジを行って1カ月の登録台数が800台程度に増えれば、商品として十分に成り立つからだ。

 しかも今の日産では、Lサイズセダンのシーマやフーガも古くなった。フーガの月販平均は約90台だ。エルグランドのほうが好調に売れており、重役を後席に座らせる法人ユーザーにも売り込める。

 仮にエルグランドが消滅してアルファードに乗り替えられると、その法人が使うNV350キャラバンがハイエースに変更されたり、NV150ADがプロボックスになったりする。オセロゲームのように、日産の社用車がトヨタに乗り替えられてしまう。

 ちなみに日産の場合、新型ノートにはノーマルエンジンが用意されておらず、e-POWERの最廉価グレードは200万円を超えるから、法人ユーザーを失う可能性もある。

2020年11月にフルモデルチェンジを受けたノート。スタート時はe-POWERのみという割り切ったラインナップ。その判断がどのように影響するかが見もの
2020年11月にフルモデルチェンジを受けたノート。スタート時はe-POWERのみという割り切ったラインナップ。その判断がどのように影響するかが見もの

打開策はフルモデルチェンジあるのみ

 今の日産からは「今後は国内市場を重視する」という話が聞かれる。この背景には2つの理由がある。

 ひとつは日本の企業なのに国内を軽視して、新型車も滞り、売れ行きが下がったことだ。この失敗に対する反省で、今後は国内市場を重視する。

一時は次期モデルの開発が凍結されたという情報も流れたが、次期型のエルグランドの開発は進んでいるようだ(画像はベストカーの予想CG)
一時は次期モデルの開発が凍結されたという情報も流れたが、次期型のエルグランドの開発は進んでいるようだ(画像はベストカーの予想CG)

 2つ目は、今後の日産がe-POWERと電気自動車を技術の中心に据えることだ。e-POWERはハイブリッドだから、発進/低速走行/停止を繰り返す日本の交通環境で強みを発揮する。e-POWERとセットにして、技術的な親和性の高い国内市場を見直す発想だ。

 エルグランドは認知度の高いLサイズミニバンだから、セダンが衰退した今、イメージリーダーになり得る。

 フルモデルチェンジを行って、e-POWERやプロパイロットを搭載すべきだ。

 そして今後登場する電気自動車で上級SUVのアリア、フェアレディZなどと一緒に、新世代の日産を盛り上げてほしい。

スポーツカーの象徴がフェアレディZとして生まれ変わろうとしているが、エルグランドもLクラスミニバンの権化として復活を願う
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【画像ギャラリー】初代エルグランド誕生から22年 蔵出し画像で綴る日本のLクラスミニバンの足跡

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