エルグランドの廃止に踏み切れない事情
それならエルグランドを廃止する方法もあるだろうが、なかなか踏み切れない。エルグランドは高価格車だから、マイナーチェンジを行って1カ月の登録台数が800台程度に増えれば、商品として十分に成り立つからだ。
しかも今の日産では、Lサイズセダンのシーマやフーガも古くなった。フーガの月販平均は約90台だ。エルグランドのほうが好調に売れており、重役を後席に座らせる法人ユーザーにも売り込める。
仮にエルグランドが消滅してアルファードに乗り替えられると、その法人が使うNV350キャラバンがハイエースに変更されたり、NV150ADがプロボックスになったりする。オセロゲームのように、日産の社用車がトヨタに乗り替えられてしまう。
ちなみに日産の場合、新型ノートにはノーマルエンジンが用意されておらず、e-POWERの最廉価グレードは200万円を超えるから、法人ユーザーを失う可能性もある。
打開策はフルモデルチェンジあるのみ
今の日産からは「今後は国内市場を重視する」という話が聞かれる。この背景には2つの理由がある。
ひとつは日本の企業なのに国内を軽視して、新型車も滞り、売れ行きが下がったことだ。この失敗に対する反省で、今後は国内市場を重視する。
2つ目は、今後の日産がe-POWERと電気自動車を技術の中心に据えることだ。e-POWERはハイブリッドだから、発進/低速走行/停止を繰り返す日本の交通環境で強みを発揮する。e-POWERとセットにして、技術的な親和性の高い国内市場を見直す発想だ。
エルグランドは認知度の高いLサイズミニバンだから、セダンが衰退した今、イメージリーダーになり得る。
フルモデルチェンジを行って、e-POWERやプロパイロットを搭載すべきだ。
そして今後登場する電気自動車で上級SUVのアリア、フェアレディZなどと一緒に、新世代の日産を盛り上げてほしい。
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