オデッセイに続き、エルグランドも――。9月に入って、ホンダ・日産両社のフラグシップミニバンのマイナーチェンジの情報が、相次いで飛び込んできた。
ご存じの通り、オデッセイは「低床ミニバン」として一世を風靡した過去をもち、エルグランドも、かつては月販1万台を超える売り上げを誇った人気モデルだ。しかしながら、現在は両車とも、強敵「アルファード」の前に、伸び悩んでおり、今回のマイナーチェンジで一矢報いたい、といったところであろう。
しかし、おそらく、アルファードが君臨する、高級ミニバン界の勢力図を変えることにはならない、と筆者は考える。アルファード強さの根源とは何なのか、エルグランド、そしてオデッセイには何が足りないのか、考察していく。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA
【画像ギャラリー】続々派手顔に!! エルグランド・オデッセイの歴代モデルをギャラリーでチェック!!
エルグランド・オデッセイは、いいクルマだが設計が古い
エルグランドにしても、オデッセイにしても、乗り心地や静粛性、動力性能、車室内の広さや快適性、衝突安全性、先進安全装備など、とても優れたミニバンであり、いいクルマであることは間違いない。
ただ、この2台とも、基本設計の古さは隠せない。マイナーチェンジでは、今回のように、フロントフェイスのような目につくパーツの化粧直しは行われるが、改修規模が大きくなる内装の改良まで、大きく行われることは少ない。
例えば、ナビゲーションモニターのサイズやレイアウト、インパネやエアコン排気口などへの加飾、手が触れるところの素材、シートデザインや座り心地、こうした部分を含めたインテリアの質感の古さは、こまめにモデルチェンジを行い、流行を取り入れてアップデートしているアルファードと比べてしまうと、どうしても敵わないのだ。
ただし、今回のマイナーチェンジで、エルグランドはナビゲーションモニタのサイズを、従来の8インチから10インチに拡大してきた。モデル末期であるはずなのに、エアコン吹出口の形状変更も含めた大改修をおりこんできたことは、日産の本気が伝わるマイナーチェンジだ。
アルファードの魅力1 「清潔感とチョイ悪さが絶妙なフロントフェイス」
今年5月に行われたトヨタ系列販売店統合の効果もあり、アルファードの7月度販売台数は8448台、8月度は7103台と、売れ筋のコンパクトカーたちに迫る勢いとなっている。
2018年に行われたマイナーチェンジで、アルファードは、大人しい印象のフロントマスク(とはいえ縦型グリルはメッキでギラギラだったが)から方針を転換。ヘッドランプ内をブラックアウトと細目化を行い、フロントグリルもブラック基調にしながらも、メッキの縦ラインを入れたフロントグリルとなった。
これにより、清潔感と、チョイ悪の要素が混ざったフロントフェイスとなった。特に、エアロ仕様による厳つさが引き締まって、程よくカッコよい。
一時期は、兄弟車「ヴェルファイア」のほうが人気の時代もあったが、2018年のマイナーチェンジをきっかけに、その状況は逆転。2019年はなんと1.9倍もアルファードのほうが多く売れた。今年は、販売店統合の影響で、ヴェルファイアは、さらに販売台数を落としている。
ヴェルファイアは、2018年のマイナーチェンジで、これまでよりもさらに、ギラギラ感が増したフロントフェイスとなった。これが少々「やりすぎ感」があったのかもしれない。程よいバランスのアルファードの方に、人気が集まることとなったのだ。
エルグランドもオデッセイも、マイチェンによって、新しいフロントフェイスを与えられることとなるが、顔がよくても、顔だけでは、どうしようもないだろう。顔がイケメンでも、スタイルや中身が好みじゃなければモテることはない。
コメント
コメントの使い方