日産エルグランドの苦悩と一縷の望み かつての帝王は大幅変更で復権なるか?

日産エルグランドの苦悩と一縷の望み かつての帝王は大幅変更で復権なるか?

 日産のLクラスミニバンのエルグランドが2020年10月にフロントマスクを大幅に変更するビッグマイナーチェンジを受けた。

 現行のエルグランドは2010年のデビューだから、10年目での初の大幅テコ入れだ。

 エルグランドは日産のビッグネームゆえ、ビッグマイチェンに対する注目度は高かったのだが、その後話題に上らなくなっている。

 ビッグマイチェンを敢行したエルグランドの販売動向について、渡辺陽一郎氏が考察する。

文/渡辺陽一郎、写真/NISSAN、TOYOTA、HONDA

【画像ギャラリー】初代エルグランド誕生から22年 蔵出し画像で綴る日本のLクラスミニバンの足跡


マイチェン前のエルグランドの販売はアルファードの10分の1以下

2020年コロナ禍で販売を伸ばしているアルファード(右)は、販売会社の統合でヴェルファイアのユーザーも多数取り込んでいる
2020年コロナ禍で販売を伸ばしているアルファード(右)は、販売会社の統合でヴェルファイアのユーザーも多数取り込んでいる

 最近はアルファードが絶好調に売れている。2020年10月には、1カ月の登録台数が1万台を突破した。以前からアルファードは、存在感の強いフロントマスク、上質な内装、多人数乗車に適する広くて快適な室内空間などにより、好調に売れていた。

 しかも2020年5月以降は、全国のトヨタ系販売店で、トヨタの全車を購入可能になった(それまではトヨペット店のみ)。人気車のアルファードは売れ行きをさらに伸ばし、逆に姉妹車のヴェルファイアは需要を奪われ、明暗を分けている。

 アルファードの競争相手として、エルグランドも気になる存在だ。

オラオラ顔と言われるアルファードに負けず劣らず迫力を増した新型エルグランドのフロントマスク。存在感は確実に増している
オラオラ顔と言われるアルファードに負けず劣らず迫力を増した新型エルグランドのフロントマスク。存在感は確実に増している

 日産の最上級ミニバンとされ、1997年に発売された初代エルグランドは、発売当初には1カ月平均で4000~5000台を登録した。価格の高いLサイズミニバンでありながら、今のセレナと同等か、それ以上の売れ行きであった。

 初代エルグランドにはトヨタも苦戦して、グランビアとその姉妹車で立ち向かったが、販売面で勝てない。そこで渾身の初代アルファードを開発した経緯がある。

 従ってエルグランドの知名度は今でも高い。アルファードが好調に売れると聞けば、「エルグランドはどうした?」という話になる。

 そこでエルグランドの登録台数を見ると、かなり苦戦している。コロナ禍の影響を受ける前の2019年でも、1カ月平均が561台であった。アルファードは5725台だったので、エルグランドの売れ行きは10%以下だ。

フロントに比べて大きな変化がないリアビュー。リアから見ると2010年デビューという古さが隠せないのが厳しいところ
フロントに比べて大きな変化がないリアビュー。リアから見ると2010年デビューという古さが隠せないのが厳しいところ

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