回生ブレーキはエネルギーを回収
EVのエネルギーフローは、走行用バッテリーからモーターに電気が供給されモーターの回転力がタイヤに伝わりクルマを走らせます。
もちろん、ブレーキを踏めばディスクやドラムで摩擦が起きて運動エネルギーを熱エネルギーに変換します(実際はブレーキペダル操作により回生ブレーキが強く働くようにセッティングされている)が、アクセルペダルを戻した場合は回生ブレーキが働くのが通常です。
ハイブリッド車の場合はガソリンエンジン車と同様のエンジンフローですが、エンジンとタイヤの間にモーターが介在していてEVと同じように回生ブレーキが働きます。
ここで重要なのは、ガソリンエンジン車では減速時に捨てるだけだった運動エネルギーをEVやハイブリッドでは電気エネルギーに変換して回収している(これが回生ブレーキ)という点です。
ハイブリッドの燃費がいいのはこの回生ブレーキのおかげなのです。なので、回生ブレーキを使わないのはもったいない、回生ブレーキを使って走ってこそEVやハイブリッドの利点を活かせるのです。
また、EVやハイブリッド車でなくても回生ブレーキを組み込むことで、12Vバッテリーに電気エネルギーとして蓄積、アイドリングストップ時の再始動での電力不足などを補うことができます。
回生量の多いペダル操作が高効率のキモ
回生ブレーキを効率よく使うのと上手に使うのとではちょっと違います。
まずは回生ブレーキを効率よく使う方法です。
回生ブレーキを効率よく使うには上手にペダル操作をすることが大切です。前述のようにフットブレーキを踏むことで回生ブレーキも積極的に介入するようになってきているので、エネルギーフローメーーターなどを確認して、回生量の多いペダル操作をすることが大切というわけです。
フットブレーキを使うと、運動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されてしまうため効率が落ちそうですが、そうならないようにクルマ側でセッティングが行われています。
とは言っても、すべての運動エネルギーが電気エネルギーに変換されるわけではなく、各部の摩擦抵抗や空気抵抗によって熱エネルギーなどとなって大気開放されているものもあります。
クルマが持っているエネルギーは運動エネルギーだけでなく、位置エネルギーもあります。例えば箱根ターンパークを頂上の大観山まで登ればおよそ1000mぶんの位置エネルギーを蓄えたことになります。登りでそれに匹敵するエネルギーを使って蓄えています。
ここから下る場合は、回生ブレーキを上手に使って位置エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに回収することが可能となります。
もちろん、この位置エネルギーもすべてを回収できるわけではありませんが、エンジン車では捨てるしかないものです。
上手く使うには回生の強さを要調整
こうした使い方が回生ブレーキを効率よく使う方法ですが、上手に使うというのはちょっと違います。
自分が回生したいエネルギーを効率よく手に入れるために、赤信号のはるか手前からゆっくりと減速したりすると周囲の交通のペースを乱すことになります。
回生ブレーキを上手に使うためには周囲の交通の流れに乗りながら、エネルギーを回収、減速していくことです。回生ブレーキの強さを調整できる車種では強さを調整しながら減速するといいでしょう()。
また強さ調整ができない場合でも走行モードを変更することで回生ブレーキの強さを調整できます。
現在のEVやハイブリッドは回生ブレーキであっても減速Gが一定以上になるとブレーキランプが点灯する仕組みなので、フットブレーキを使わないでも安全に減速ができます。
【編集部註】
EVやハイブリッドカーではシフトにBポジションを備えているクルマがありますが、Bポジション(通称ブレーキモード)に入れて走行することで、回生能力が高まります。
また、電気自動車のリーフ、ホンダe、日産のe-POWER搭載車はワンペダルドライブが可能で、自在に加減速できると同時に効率よく回生することもできます。
フットブレーキだけでなく、こうした機能を組み合わせて減速することで、回生効率が上がり、かつスムーズに走ることができます。
コメント
コメントの使い方