■マツダが米国で初のブランド首位に!
米国の『コンシューマーレポート』は今年11月19日、2020年の自動車信頼性ブランドランキングを発表し、昨年2位だったマツダが初めて1位を獲得した。2位はトヨタ、3位はレクサスだった。
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地道な努力がやっと実った。初の1位獲得をマツダ経営陣は本当に嬉しいと思っているはずだ。
時計の針を少し戻すと、1990年代から2000年代、マツダのアメリカでのブランドイメージは“万年二流”だった。
原因は、ディーラーのサービスの質だ。マツダにかぎった話ではないが、人気ブランドでないディーラーは、歩合制のセールスマンの定着率が低く、継続的なカスタマーケアについて疑問が残る場合が多い。
また、人気のないブランドはひとつのディーラーが複数ブランドを併売するケースが多く、メーカーにとってブランド価値を定着させることが難しいという悪循環を生む。
こうした状況を根本的に打破したのが、スバルだった。
いわゆる“パパママディーラー”と呼ばれる小規模ディーラーの在り方を見直し、CI(コーポレート・アイデンティティ)を徹底。
また、旗艦店を設けて全米ディーラーにとって目指す方向性をしっかりと示した。
こうした販売の基盤整備が整っていったことと、アメリカ市場向けの商品企画戦略に転換したこと、また「LOVE」というマーケティング活動の相乗効果が生まれたことで、スバルはアメリカで一気に上位ブランドの地位へと駆け上っていった。
こうしたスバルの大成功の陰で、マツダは埋もれてしまっていた。
2000年後半、CX-5から始まったマツダ第六世代商品群では、SKYACTIVエンジンや魂動デザインなど、マツダ独自のモノ作り戦略が日本を含めて世界各国で絶賛された。
そうした優れた商品を活かすも殺すもユーザーと直接対面するディーラー次第であることに、マツダは改めて思い知らされた。
そこで、マツダの変革が始まる。スバルの成功に関して充分に調査研究も行いながら、マツダ流の北米販売網大変革が2010年代中盤から本格的に始まった。名付けて「リテール・レボリューション(販売・大改革)」である。まず、アメリカのマツダ現地法人の経営体制を変えた。
そのうえで、ディーラー店舗を最新イメージに刷新し、ディーラーマンの再教育を進めた。さらには、車種展開として北米市場でのニーズをしっかり捉えた「CX-30」を投入したのだ。今回のランキング1位、一朝一夕で達成したものではないのだ。
(TEXT/桃田健史)
■世界の電動化への道筋は?
英国政府が2020年11月17日、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止すると発表した。ここまでの世界の電動化の情勢をまとめてみた。
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自動車メーカーは法対応しないとクルマを売れないだけに、法規が変わってくればほぼ間違いなく法規に合わせてエンジンがついたクルマを全廃するだろう。
そうなるとエンジンはEVとFCVに置き換わるワケだが、そうなった際にはレアメタルなどの資源を含めたモーターやバッテリーの供給が間に合うのか、スピードレンジの高いヨーロッパでの航続距離、電気や水素の供給、生産時も含め「EVは本当にエコなのか?」など、心配な点も多い。
そのため個人的には20年後でもエンジン禁止というのは無理があるのでは? とも考えており、施行時期が延期される可能性も充分あると思っている。
しかし、戦争中を代表に、技術は大変な時にこそ進むものでもあるので、人間の英知が結集され、エンジン禁止も期限までに不便や問題なく進むのかもしれない。
いずれにせよ確かなのはエンジンがついたクルマに乗れる残り時間は長くないということで、欲しいクルマがあるなら早めに自分のものにして存分に楽しんでおきべきだ。
(TEXT/永田恵一)
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