世界に誇る日本の名車「ジムニー」。軽自動車枠に収まるサイズとエンジンを持ちながら、走破性においては(その軽さもあって)世界有数。
根強いファンを多数持つだけでなく、2018年7月に発表発売された現行型は、20年ぶりの新型車であることや折からのSUVブームもあって大ヒット。すさまじい数のバックオーダーを抱えている。
そんなジムニー、なぜスズキはこういうクルマを作ることが出来たのか?(なぜ他メーカーはいま作ることができないのか) 名車の秘密に迫るとともに、今後のジムニーがどう生き残っていくかについても考察していただいた。
文/諸星陽一 写真/スズキ、ベストカー編集部、トヨタ
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■コンパクトなクロスカントリー4WD=ジムニー
世界的にSUVが大ヒットしている。SUVといってもヒットしているのは、クロスオーバーSUVと言われるオンロード寄りのモデルで、ヘビーデューティなクロスカントリー4WDのようなモデルは徐々に減少傾向にある。
世界中で道路の整備が進んでいることも大きく影響しているだろうし、クロスオーバーSUVの性能が向上していることもあるだろう。
そうしたなかでも生き残っているクロスカントリー4WDといえばジープ、ランドローバー、そしてトヨタのランドクルーザーが世界的にもメジャーなブランド。そして、忘れてはならない存在がある。スズキのジムニーだ。
ジムニーは1970年に初代が登場。その後、基本的なコンセプトであるコンパクトなクロスカントリー4WDということをまったくブレずに現代まで貫いているモデル。
2021年2月の販売台数はジムニーが4138台、3月は5719台。小型車となるジムニーシエラも2月1641台、3月2267台と好調で、ジムニーに至ってはバックオーダーを多く抱えており、今注文しても納車は1年後という状況だ。
ジムニーがここまでヒットしている理由のひとつには「ライバル不在」が上げられる。
かつては三菱からパジェロミニ&パジェロジュニア、ダイハツからテリオスキッド&テリオスというジムニー&ジムニーシエラに相当するモデルがライバルとして存在していた。
しかし、現在は三菱もダイハツもライバルとなるモデルを用意していない。
ここまで売れるのであれば、三菱やダイハツも同クラスを導入すればいいのに? と思うかも知れないが、ことはそんなに簡単ではない。
そもそもパジェロの生産そのものが中止されることが決まった今、パジェロミニの復活は難しいだろうし、テリオスはすでにクロスオーバーSUVへの転身を果たし、東南アジアで販売されている。
こうなるともはや敵なし、コンパクトなクロスカントリー4WDが欲しいイコール「ジムニーを購入」という図式だ。
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