2021年5月29日、GMジャパンは富士スピードウェイで、新型「C8」コルベットのお披露目イベントを行った。
そこに現れたのは、ハードトップコンバーチブルを導入、またFRからミドシップへと変更、そして何より右ハンドル設定といった「日本向け仕様」をも取り入れた、新しいコルベット。
生まれ変わったハイパフォーマンススポーツカーの様子をお伝えする。
※本稿は2021年6月のものです
文・撮影/池之平昌信
初出:『ベストカー』2021年7月10日号
【画像ギャラリー】「新生」という言葉にふさわしい新型C8コルベット。カラーバリエーション・価格表などをギャラリーでチェック
■スタイル抜群、走れば優秀お値段控えめの完璧スポーツ
コルベットといえば超ロングノーズ、米国マッスルカーの象徴的存在のはずだ。
強烈トルクの巨大艦を後輪の近くで操縦するのは独特の感覚。フル加速をすると、すぐにトラコンのお世話になってしまうほど刺激的だ。
その暴れん坊が劇的変身をとげ、日本に乗り込んできた。
なんとFR、66年の歴史を捨て、トラクションや運動性能に有利なMRになったのだ。これはもう完全新設計のニューモデルと言っていいだろう。
新型成約者向けの日本仕様初お披露目イベントは、緊急事態宣言下ゆえ無観客ライブ配信となったが、メディアは間近で実車を確認、撮影することができた。メディアの特権(?)を許してほしい。
エンジンは伝統の6.2L、V8のOHVだが、直噴、可変バルブタイミング、気筒休止機能など正常進化。しかも出力は495hpで先代(特別モデルを除く)を超えてきた。
車重は前モデルとほぼ同じ(約1.5t)なので、並み居るスーパーカーらと比べても実力的にそう見劣りするわけがない。
ボディサイズも最新フェラーリV8モデルとほぼ同じ。というかこれ、完全にライバルなのでは!?
となると、デザインや価格含む総合力勝負となるが、今回のコルベットには新たな武器がある。
右ハンドルの導入だ。追い越しや駐車料金の支払いなど左ハンドルが不便なことは多い。右ハンドルの設定は強い魅力となるはずだ。
肝心の走りはどうか? 気になるが当日は残念ながらプロレーサーのデモ走行のみ。が、重鎮ジャーナリストレーサー・清水和夫氏は以下のようにコメントした。
「洗練されていて乗りやすい。200km/hで巡航しても普通に会話OKだろう。それに新型はコンバーチブルありきで設計されているから剛性不足の心配もない。
また、(先代までのロングノーズと違って)前方の視界がかなりよくなった。それにこれだけの荷室がある。
(エンジンに近い)後ろにホカホカの弁当、前には冷たい飲み物を積んでロングドライブも可能。アメリカらしくていいじゃない?」
確かに後部にはコンバチモデルの外したルーフトップやゴルフバッグ2セット積載可能なスペースもあるし、前部には深めの荷室もある。
欧州型スーパーカーにはない個性もちゃんと残っているようだ。
国内外のスポーツカーはターボ、4WD全盛だ。そういう状況下で自然吸気大排気量を楽しめるクルマは貴重だ。
そして文句なくカッコよく、この価格。何色がいいかな?
これ買って、たまにサーキットを爆走して、普段はのんびりクルージング。アメリカンドリームな妄想は膨らむ。
●新型コルベット諸元&価格(クーペ 2LT)
・全長×全幅×全高:4630×1934×1234mm
・ホイールベース:2722mm
・車両重量:1526kg
・エンジン:V8 OHV 6153cc
・最高出力:495hp/6450rpm
・最大トルク:637Nm(約65kgm)/5150rpm
・トランスミッション:8速DCT
・駆動方式:FR
・乗車定員:2名
・価格:1180万円
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