サーキット指向の最強4WDをBMW M3とM4に投入!

 近年、高性能モデルの4WD化を積極的に進めているBMWだが、その流れは、フラッグシップスポーツであるMハイパフォーマンスモデルも同様だ。今回、新たに「M3セダン」と「M4クーペ」、そして「M4カブリオレ」に、Mスペシャルチューンの4WDシステムを搭載したモデルを投入した。

 これにより、M3セダンとM4クーペは、新世代Mモデルのなかでは、FRと4WDが選択できる珍しい存在となっている。FR仕様との違いを含め、新バージョンとなる4WD仕様について紹介しよう。

 【画像ギャラリー】新たな魅力を手にしたBMW M3・M4シリーズ

文/大音 安弘、写真/BMW


M xDrive搭載のM3とM4がデビュー

 BMWは、2021年9月3日、BMWのMパフォーマンスモデルの「BMW M3セダン」と「BMW M4クーペ」に4WDモデルの追加。さらに同年9月10日に、新たに「M4カブリオレ」の導入をそれぞれ発表した。

 4WD車仕様の価格は、M3セダンが1354万円~1466万円。M4クーペが1378万~1490万円。そして新登場のM4カブリオレは、モノグレードとなり、1433万円となる。

BMW M3とM4の4WDモデルを追加するとともにM4カブリオレも仲間に加わった
BMW M3とM4の4WDモデルを追加するとともにM4カブリオレも仲間に加わった

コンペティションがベースに!

 すでに導入ずみであったM3とM4は、FR仕様がベース。M4クーペのみ、6速MT仕様のスタンダード仕様が設定されているが、それ以外は、すべてAT「8速ステップトロニック」を搭載し、エンジン性能の強化などを加えた「コンペティション」となる。新導入となる4WD車の仕様も「コンペティション」に準ずるものだ。

 コンペティションの最大の特徴となる3.0L直列6気筒DOHCターボエンジンは、最高出力510ps/6250rpm、最大トルク650Nm/2750~5500rpmを発揮。このスペックは、カブリオレも含め共通。また、M3セダンとM4クーペに設定されている、よりサーキット指向を強めた「トラックパッケージ」も選択可能だ。

 このパッケージでは、運動性能をより高めるために先進の運転支援機能が非搭載となり、約25㎏の軽量化を実現。さらにMカーボンセラミックブレーキやMカーボンバケットシートなどサーキット走行を重視したアイテムも標準化される。

4WD仕様でも、エンジンスペックはコンペティションと共有となる
4WD仕様でも、エンジンスペックはコンペティションと共有となる

なんとFRにもなるM xDrive

 4WD仕様に搭載される「M xDrive」は、インテリジェント4輪駆動システム「BMW xDrive」と「アクティブMディファレンシャル」をベースに、Mモデル専用に開発された制御システム「ドライビング・ダイナミクス・コントロール」によって制御されるもの。このシステムには、日常走行からサーキット走行までを考慮したチューニングが施されている。

 基本となるのは、Mモデルらしい俊敏な走りを実現する「DSCオン・4WDモード」だが、Mダイナミックモードを選択する4WDの駆動配分の後輪側を増加させ、リアホイールのスリップ容量を拡大させ、より多様なハンドリングが可能となるという。

 さらにMらしい隠し味を備えるのが、DSCオフのモードだ。「4WDモード」と「4WDスポーツモード」という4WD主体のコントロールの自由度が増すセッティングを基本とするが、熟練したドライバー向けの「2WDモード」を用意。

 このモードでは、クルマの挙動を制限する制御システムがすべてオフになり、クルマを操る楽しさがダイレクトに感じられるという。なんともMモデルらしい演出だが、最新の四駆と電子制御のメリットを捨てて得られる走りの快感だけに、使用は慎重に願いたいとも思ってしまう機能だ。

M xDriveは、4WD車でありながら、なんとFRも楽しめてしまう。ただし、上級ドライバー向けのお楽しみであることを忘れてはならない
M xDriveは、4WD車でありながら、なんとFRも楽しめてしまう。ただし、上級ドライバー向けのお楽しみであることを忘れてはならない

4WD専用車となるM4カブリオレ

 新たなM4の仲間に加わった「M4カブリオレ コンペティション M xDrive」は、Mらしい迫力のデザインをクーペ仕様から受け継ぎながら、ソフトトップを組み合わせることで優雅なスタイルを実現。しかし、その中身は、M3やM4と同様のMチューニングが施されている、かっ飛びオープンカーだ。

 M4クーペのようにハードな「トラックパッケージ」は非設定となるが、クーペ同様に、ハードなサーキット走行を受け止める「6ポッドMコンパウンドブレーキ」を標準化。さらにオプションでMカーボンセラミックブレーキやMカーボンバケットシートの選択も可能となる。

 最新のMモデル同様に、先進の安全運転支援機能も備えており、日常からサーキットまで幅広いシーンで活躍できるオールマイティなMのひとつだ。

電動ソフトトップは、約18秒でオープンに。なんとも優雅なMモデルだ
電動ソフトトップは、約18秒でオープンに。なんとも優雅なMモデルだ

実はお得なM xDrive仕様

 4WDモデルが追加されたM3セダンとM4クーペだが、先行導入されたFR仕様も継続して設定されている。ただ驚くべきことに、同じ仕様のFRと4WDの価格差は、なんと30万円。4WDの走行安定性とMモデルらしい後輪主体となる駆動配分、さらに熟練ドライバー向けのFRモードの設定などを考慮すると、M xDriveが魅力的に映る人も多いはずだ。

 ストイックにFRにこだわるのもありだが、可能性を広げるMチューンの4WDも面白そう。ただ、ハイパワーを6MTで操る醍醐味は、FRのM4クーペ標準車だけのお楽しみとなることに変わりはない。

M3とM4コンペティションに+30万円となるM xDrive仕様。かなり高コスパに思える価格設定だ
M3とM4コンペティションに+30万円となるM xDrive仕様。かなり高コスパに思える価格設定だ

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