■暗雲立ち込める納期状況と対照的な明るい販売見通し
気になる納期だが、現在のところ「Z」グレードで4か月程度、他のグレードでは5か月~半年ほどを見たほうがいい。
工場の稼働停止が相次ぐなか、納期について不確定な部分が多い。販売店によって対応はさまざまとなっており、ハッキリと「4か月」を明示するところもあれば、「今のところ予約受注に対するメーカーからの配車回答も来てないのでわからない」と、明言を避けるお店もあった。
取材時点(発表日から約1週間後)で、「年内はギリギリ間に合うかどうか」という声が多かったため、本稿が掲出時点での、2021年中の納車は非常に厳しい状況だ。
生産をするトヨタ自動車高岡工場は、9月1日~17日、27日~30日、10月の全ての木曜日と金曜日(9日間)の稼働停止をすでに発表した。今後も部品の調達状況などが芳しくなければ、稼働停止日はさらに増える可能性もある。
事前注文を入れていたユーザーはすでに、当初の目算よりも1か月以上、納車の時期が後ろにズレ込んでいる。発表および生産開始時期が、ちょうど工場稼働停止発表と重なったカローラクロス。余裕をもって、半年程度は待つ気持ちで商談に臨むべきだろう。
販売現場では、見通しの悪い納車スケジュールに対し、不満も出てきている。商談後に他メーカーのクルマに決めたと断られる理由のほとんどは、納期を理由にしたものだという。クルマが良いだけに、現場にとっては、もどかしい状況が続く。
しかし、今後の売れ行きに関しては明るい材料も多い。カローラクロスではプリウスからの乗り換えが非常に多いという。特に30系プリウスを下取りにする注文が増えており、今後もこの流れは続くはずだ。
自社管理顧客へ攻勢をかける際に、30系プリウスがターゲットとなるのは大きな助けになる。あの大ヒットしたプリウスは、管理顧客の中に大きな割合で存在するのだから。
今後しばらくは、カローラクロスの営業先に困ることはないだろう。販売実績も好調な今の状況が、少なくとも年度末までは続くとみていい。
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筆者も見積もりをしてみて、充分なクルマの内容に対してトータル金額が安すぎることに驚いた。コスパは抜群でサイズも手ごろとくれば、売れない理由を探す方が難しい。
ライズ・ハリアー・ヤリスクロスとスマッシュヒットを飛ばすトヨタSUVで、さらに人気車が一台増える。SUV戦線で、トヨタは頭ふたつ以上ライバルに差をつけていくだろう。
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