■200万円の軽EVは売れるのか?
別に日本政府が後押ししなくても、欧州のようなEV化先鋭地域では、あっちの政府がEVを後押ししてくれている。しかし、欧州での日本車のシェアは10%程度。国産メーカーにとって、あまり大きな市場ではない。欧州市場のために全力を傾けろというのは酷だ。やっぱり地元の応援がないとイカン!
近年、国産メーカーのEVを見ていると、非常に心配になる。ホンダeもマツダ MX-30 EVも、そして今年発売した日産 アリアも、どれもこれも価格が割高でコスパが悪い。
最大156万円の値下げを敢行したテスラ(モデル3)や、超小型EVが快走している中国製と比べると、技術はともかく、コストダウンのスピードで完全に置いていかれている。これはまぁ、日欧米既存の自動車メーカーすべてに言える傾向ではありますが。
日産/三菱連合は、来年度初頭、開発中の軽EVを発表する。ボディサイズは軽自動車枠、電池容量は20kWh。価格は、補助金(2021年度と同額と仮定)を差し引いて約200万円とのことだ。200万円……。微妙だ。
軽EVとしては、三菱 i-MiEVという先輩が存在する。2009年登場時のスペックは、バッテリー容量16Wh、航続距離160km(実質100km?)。価格は当初459万9000円。国の補助金が139万円出たので、実質320万円ほど。
その後、値下げされ、航続距離の短い廉価版は実質172万円まで下がったが、それでも売れなかった。
そのi-MiEVに比べると、日産/三菱連合の新型軽EVは、大幅に改善されている。航続距離も実質150kmくらいだろうから、通勤用やセカンドカーとしては問題ない。でもやっぱり、高いんじゃないか!?
200万円出せば、フル装備の軽が買える。軽なら充電の心配がないので、航続距離は事実上無限。移動の自由が制限されるEVより断然魅力的だ。地方のスタンド減少による不便さを考慮しても、軽EVは150万円以下が適正だろう。普通の軽より安くなければダメだ。
国産メーカーの場合、テスラのような頂上作戦、つまり高級車クラスから攻めてブランド力を付けつつ、下に降りて行く戦略は不可能で、まずボトムを狙うしかない。三菱も日産もその作戦で失敗したが、それしか道はない!
■EV普及の道は燃費課税の強化!?
現状、国内では、あらゆる意味でEVよりもガソリン軽やハイブリッドのほうが優れている。しかしそこに安住していたら、EVのコストダウン競争力が低下するいっぽうになり、いずれ海外市場で負ける。自動車産業は、もはや日本経済を支える一枚看板。後押しする国内政策が必要ではないだろうか!
そこで必要になるのが、「成長と分配」作戦だ。ランクル300のような燃費の悪い内燃エンジン車から、燃費に応じた炭素税を取り、EVに分配するのである。
日本の自動車税制は、エコカー減税など「減税」ばかりで、増税がほとんどない。これでは限界がある。そもそも燃費基準値が車両重量別に決まっていて、重いほど有利になるのだからトンチンカンだ。乗用車は軽だろうがミニバンだろうが、平均乗車人数に大差はない。クルマの重さや大きさは一切考慮せず、燃費に応じて課税額を決めるべきだ。
国交省によると、平成30年時の日本の乗用車の平均燃費は、JC08モードで22.0km/L。WLTCモードだと20km/L程度か? 平均燃費未満の新車は、すべて燃費に応じて、新車登録時に炭素税を課税! くらいでいい。
課税額を、たとえば1km/L超過するごとに5万円に設定すると、ランクル300のガソリンモデル(WLTCモード燃費7.9km/L)の課税額は、約60万円になる。そう聞くと高く感じるが、アルファード・ハイブリッドはWLTC燃費14.8km/Lなので、約25万円。まあ妥当な線ではないだろうか。
これで年間税収は1000億円台と見る。その分配は、ズバリ、「EV1台あたりの均等額」が望ましい。現在のEV補助金は、車両価格や航続距離に応じて差がつけられているが、結果的に単なる高級EV優遇になっている。
年間1000億円台の予算があれば、EVが年間10万台売れたとしても(2020年は約1.5万台)、1台あたり100万円以上「分配」できる。現状、ガソリン車とEVの価格差は約100万円。その穴を埋めるのみならず、価格が安い軽EVに、かなりのアドバンテージを与えるだろう。
軽EVへの「アメ」と、燃費の悪いクルマへの「ムチ」で、国産EVの競争力アップを狙うべきだ!
非常に粗削りな政策案ですが、いかがなものでしょう。
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