あらゆる意味で優れた驚異の「コスパ」
●ハイエースの凄さ/【4】コストパフォーマンスの高さ
現在、ハイエースの新車価格は236万3500円からだ。この価格は一見すると安くないようにも見えるが、長い目で見ると安い。その理由はハイエースの信頼性・耐久性の高さに尽きる。
筆者の父のレジアスエース・スーパーロングバンも新車から13年30万km近く走っているが、商売道具なので整備もそれなりに行き届いているのもあり、未だ元気一杯だ。
また、日本でもハイエースは何十万km走っていることは珍しくなく、オフ会ではオーナーさん同士が多走行自慢大会をするそうだ(笑)。
ハイエースは人気の高さに加え、信頼性・耐久性の高さも基盤にリセールバリューがいいのは有名だが、使い込んだクルマでもきちんとした値が付くという点に加え、ある程度の年式・走行距離からは中古車で重要となる、この2つの要素が極端に言うとあまり関係ない傾向にある点も凄い。
さらに、日本での役目が終わっても、輸出され海外でライフラインのように走っているのだから、この点はハイエースの信頼性・耐久性の高さに加え、日本のトヨタが海外でも部品の供給をはじめとしたとてつもないネットワークを持っていることの象徴でもある。
これがハイエース!? 働く車をラリー車にして実感した「奥深さ」
10月にあった北海道でのラリーの際には、ラリーのベースとなるサービスパークすぐ近くの公園で、「北海道ハイエースフェスティバル」というイベントも開催された。
このイベントではドライバー兼車両制作者・喜多見孝弘さんが、ハイエースのラリー本番車をドライブし、グラベルのサッカー場で同乗走行会を実施。喜多見さん開発のハイエース用パーツ「CAST」の販売を担当する丸徳商会(埼玉県深谷市)が所有するデモカーとノーマルハイエースの乗り比べなどが行われた。
イベントでは筆者も短時間ながら3台のハイエースを乗り比べられたので、ここからは3台のショートインプレッションをお届けしたい。
●市販車のハイエース
ノーマルハイエースはかなり新しい4ナンバーバン、2.8Lディーゼルターボ6速AT+4WDの9人乗りというマニアックなモデルだった。
ハイエースはオーナーさんや仕事で乗ることがある人以外あまり乗ることがないだけに、たまに乗ると非日常なせいなのか楽しいクルマで、それはこのノーマルハイエースも同じだった。また、ハイエースのディーゼル車は2017年11月のモデル以降、3LのKD型+4速ATから2.8LのGD型+6速ATになっており、スムースかつより力強い走りとなっていた。
また、久しぶりに乗って驚いたのが乗り心地だ。筆者が乗ったことのあるノーマルハイエースは2013年11月にマイナーチェンジされたバンの「スーパーGL」で、こちらはとても乗り心地が良くビックリした記憶があるが、それ以外では芳しくないイメージしかなかった。
それが新しいモデルでは足回りに改良があったのか、4WDのためか理由は不明ながら、特に悪さを感じない良い意味で無難な乗り心地となっており、改良を続けるトヨタとトヨタ車体の姿勢には感心した。
●デモカー1号車
デモカー1号車は、丸徳商会の営業車で、2LガソリンのAT車ベース。メンテナンス面など機械式LSDの弱点がなく、しっかりLSD効果のあるサイレントLSDで、喜多見さんが主宰するサンコーワークスの看板商品の1つ「ネオチューンダンパー」(※多くのノーマルカーが使う複筒式ダンパーのオイルをスペシャル品に換え、乗り心地とハンドリングを同時に改善するもの。仕様もオイルによって希望の乗り味に調整可能で、デモカーはオーソドックスなコンフォート仕様)、CASTの足回りパーツが各種装着された快適仕様だ。
足回りのトータルチューンで、ハイエースとは思えないしなやかな乗り心地やハンドル操作に対する正確さが向上していることにより、ひと言で言うと「快適&運転していて楽」に仕上がっており、このハイエースに営業で乗るスタッフさんは運転による疲れが少ないに違いない。
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