ザ・直線番長!! 三菱の技術と気合があふれていた「GTO」の雄姿と最期

ザ・直線番長!! 三菱の技術と気合があふれていた「GTO」の雄姿と最期

 バブル景気の真っ只中の1990年に「スーパー4WDスポーツカー」と銘打ち、華々しくデビューした、三菱「GTO」。高出力のV6ツインターボエンジンを搭載して、スポーツカーとしては珍しい4WDに4WSを組み合わせたGTOは、先進技術満載のスポーツカーとして、当時注目はされたものの、あまり評価をされなかったモデルです。

 三菱のフラグシップスポーツカー「GTO」の魅力をお伝えするとともに、実力は確かながら、評価をされなかった理由について、解説していきます。

文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:MITSUBISHI、HONDA、TOYOTA、NISSAN、MAZDA、SUBARU

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スポーツカーとしては珍しいフルタイム4WD

 1980年代から1990年代は、バブル景気の後押しもあり、クルマの高性能化とハイテク化が急速に進んだ時代。三菱自動車も、ターボ化と4WD化のフルラインナップ戦略を進め、スポーツスペシャルティカーのスタリオン、スーパーセダンのギャランVR-4など、個性的なクルマを続々と投入するなか、スポーツモデルのフラグシップとして、1990年10月、GTOを投入しました。

 GTOは、実質的にはスタリオンの後継車でしたが、車名は往年の名車であるギャランGTOから受け継ぎました。スタリオンは、斬新なデザインと高い動力性能が評価されたものの、ヒットモデルとはならなかったことから、スポーツモデルとして今も多くのファンを魅了している、ギャランGTOの名を冠したのです。

 GTOが、当時同クラスのライバルであった、ホンダNSXや日産スカイラインGT-R、トヨタのスープラと決定的に違った点、それは、スーパーカーを除けばスポーツカーとしては採用例が少ないフルタイム4WDであったこと(スカイラインGT-Rは当時、パートタイム4WDを採用)です。

GTOの先代にあたる1982年デビューのスタリオン。主に北米市場をターゲットにしたスポーツスペシャリティカーで、リトラクタブルライトを装備したシャープなスタイルが特徴

誰でも乗れる安全なスポーツカーを目指した

 高性能スポーツカーにとって、高出力・高トルクのエンジンは絶対条件。ただ、強大なエンジントルクを効率的に路面に伝達するとなると、FFは論外、FRやミッドシップでも不十分。スポーツカーらしい優れた動力性能を目指すなら、駆動力を前後輪で分担して路面に伝達できる4WDが理想的、三菱はこのように考えたのです。

 またスポーツカーらしさを求めるなら、フロントセクションが軽くできるミッドシップのレイアウトが理想的ですが、操縦の仕方や、タイヤサイズによっては、限界を超えると突然スピンしてしまうリスクも。現代の500psを越えているようなスーパーカーが、ミッドシップで4WDの採用例が多いのは、これが理由です。

 GTOは、最高出力280PS/最大トルク42.5kgmを発揮するV6ツインターボの高性能エンジンをフロントに横置きで搭載して4WDとした、ハイパワーのスポーツカー。このようなハイパワーのスポーツカーでも4WDであれば、あらゆる条件の下でも、より安全に運転しやすくなります。

 GTOは、扱いにくく、乗り手を選ぶのが当然だった従来のスポーツカーではなく、誰でも乗れる安全なスポーツカーを目指したのです。

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