■最新技術採用で激変したコックピット
インテリアで劇的な進化を遂げたのが、コックピット周りだ。従来型も、デジタルメーターやインフォテイメントシステムなどをしっかり備えた現代車としては充分な最新機能を備えていたが、新型では新世代インフォテイメント「MIB3」を取り入れるため、ダッシュボードデザインまで大幅に変更している。
最大の変化は、インフォテイメントディスプレイがインダッシュ式からオンダッシュ式にに作り変えたこと。またダイヤル式だったエアコン操作パネルも、最新式のタッチスイッチ式とすることで先進感も演出した。もちろん、ドライバーと先進機能を繋ぐステアリングも、ゴルフ8などの最新世代車に採用されるものに切り替えられている。
先進の安全運転支援機能についても、アップデートが図られており、最新VW車に搭載される「IQ.DRIVE」を採用。運転支援システム「Travel assist」をT-Rocに初搭載している。
この欧州仕様では、ACCの進化系となる「プレディクティブACC」を採用。フロントカメラの情報に加え、ナビゲーションシステムのGPSや地図情報などを用いることで、走行環境に合わせた制御を行うという。
また、既存のADAS機能についても改良が加えられ、全面的な性能向上も図られ、より安全なSUVに成長している。
標準車のグレード構成は、エントリーの「ベース」をはじめ、装備を強化した「ライフ」、ドレスアップ志向の「スタイル」、スポーティな「Rライン」を用意。アップグレードとして、一部グレードに「ブラック スタイル デザイン パッケージ」も設定されている。
パワーユニットは、1L、1.5L、2Lのガソリンエンジンと2Lのディーゼルエンジンを設定。日本ではFFのみだが、本国ではエンジンによっては4WDの選択も可能だ。
■日本にはないT-Rocたち
T-Rocには標準車に加え、特別なモデルがふたつ用意されている。1台は、19年末に追加されたハイパフォーマンスモデル、T-Roc R」。同モデルは、ゴルフRを代表とするVWのハイパフォーマンスモデル群に属する高性能なT-Rocだ。
Rラインよりもアグレッシブなスタイリングを備えるのはもちろんのこと、性能面でも段違いの磨き上げが図られている。
搭載される2L直列4気筒ターボは、最高出力300ps、最大トルク400Nmを発揮する。その実力は、0-100km/h加速4.9秒を誇る。的確なトランクションを得るために、4WDシステム「4MOTION」とストッピングパワーを強化したブレーキシステムが備わる。
また、T-Rocのフラッグシップに位置するため、レザーを基本としたスポーティかつ豪華なインテリアも特徴のひとつとなっている。
もう一台は、20年春に登場したばかりの初々しいモデルなのだが、なんとオープンカーの「T-Rocカブリオレ」である。オールラウンダーであるT-Rocのルーフを取り払い、2ドア化した贅沢なコンパクトパーソナルSUVだ。
その作り込みは、VWオープンカーの伝統を受け継ぎ、ビートルやゴルフカブリオレなどと同様の3層構造の軽量なファブリック製ソフトトップを装備する。電動油圧式の動作によるソフトトップの格納時間は、わずか9秒と快適だ。
専用設計となる後席は、2座に作り変えられており、4名乗車が可能。開放感にあふれる作りだが、横転事故などの緊急時の乗員を守る強力な内蔵式ガードが作動する。
パワートレーンは、1L3気筒TSIエンジンか、1.5L4気筒TSIのいずれかのガソリンエンジンを組み合わせる。6速MTを基本とするのも趣味性の高さを感じさせるが、オプションで7速DSGを選ぶことができる。駆動方式は、FFのみとなる。
現時点では、マイナーチェンジモデルの日本導入時期は未定だ。気になる導入仕様についてだが、今年マイナーチェンジを実施したティグアンには、「R」モデルが導入されたため、Rが導入される可能性は高いだろう。
その一方、日本ではニーズが限定されるカブリオレについては、厳しい目と言わざる終えない。しかし、ゴルフカブリオレやザ・ビートルカブリオレなどのVWカブリオレモデルが歴史的にはラインナップに含まれてきた。新T-Rocの導入をきっかけに、VWのカブリオレの復活に期待したいものだ。
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