■ようこそ沼の深みへ。覆面のディテール処理に萌える
覆面パトカーを見分けるキモは、そのディテール処理の見分けにあるといっても過言ではない。以前の記事では警察無線用アンテナの擬装方法の数々を紹介したが、覆面パトカーは隠密活動を行うため、また警察車両として機能するため、一般車にはないディテールを備えている。それらをひとつずつ確認し、その工夫や出来栄えをしっかり吟味したい。ここでは、パトカーに欠かせない装備である前面警光灯やサイレンアンプなどの内外装の詳細を紹介しよう。ささいな違いが見えてくると、覆面パトカーのウォッチがより一層楽しくなり、ますます沼の深みへといざなわれること間違いなしだ。
1.前面警光灯
交通覆面や警護車には、フロント部分に赤色灯が装備されている。近年はフロントグリル内にLEDタイプの前面警光灯を装備する場合が多い。捜査用車両や幹部車両にも一部装備されているものがあり、覆面パトカーと判断する手がかりのひとつだ。ただし、グリルの内部に装着されている場合は、判別が難しく、それゆえ見つけた時の快感もひとしおである。
180系および200系クラウンの交通覆面では、グリルの隙間に位置を合わせた専用品、「東芝製 補助警光灯」が装備されている。その他の車両では、一列のバー型や2×3の長方形型のものなどがある。
LEDタイプが普及する以前は、電球式の「オートカバー」が一般的であった。これは蓋がついた箱型の前面警光灯で、ONにすると蓋が開いて赤く光るものである。こちらはバンパーを切り欠く形で装着されていたため、容易に見抜くことができた。
2.脱落防止ピン(通称:ポッチ)
交通覆面や警護車には、ルーフに反転式警光灯(ポコっと出てくる赤色灯)が備わっている。走行中でも、停車中でもボタンひとつで、緊急走行にうつれる強力な装備だ。
いっぽう捜査用車両の場合、緊急走行する際には手で赤色灯をルーフに載せる。この赤色灯はマグネットゴムでルーフにくっつくようになっており、比較的簡単にセットできるものの、高速で走行したり、激しい揺れがあったりすると、少々心もとない。そこで、捜査用車両のルーフには「脱落防止ピン」を取り付けられるようになっている。赤色灯前部の穴にこのピンを通す形でセットすれば、赤色灯が落下してしまうのを防げる。
しかし実際のところ、この脱落防止ピンを常に装着している捜査用車両はそう多くない。目立ちたくないからだ。装着していない時には、装着用のネジ穴にプラスチックのビスなどを差し込み、雨漏り等を防いでいる。このプラスチックのビスの頭のことを、マニアの間では「ポッチ」と呼んでいる。直径1cm未満、外部に出ている高さ数mmの部品なのでよくよく観察しないと見落としてしまいがちである。しかし、アンテナは車両の後ろから見ないと判別が難しいのに対し、この「ポッチ」は車両前部から見えるという特徴がある。運転中などに対向車線を走る覆面に対して、「おっ、覆面が来たな」とわかるわけだ。わかったからといって何の得もないのだが、覆面を見るだけでテンションが上がる警察マニアには嬉しい判別ポイントだ。
3.フラットビーム
サンバイザーに取り付けて使用する長方形のLED式赤色灯。パトライト社から「フラットビーム」という商品名で警察向けに販売されていた。主に捜査用車両(特に機動捜査隊車)に装着されていた。このフラットビームの利点は、赤色灯を手で載せなくても、バイザーを下げてLEDを点滅させるだけで緊急車両とわかる点である。
欠点としては、側方や後方からはほとんどわからない点と、赤色灯ほどの認知度がないため、それが緊急車両を示しているとわからないドライバーもいる点などが挙げられる。便利なものであるため、一時期大量導入されたが、パトライト社が製造を終了したため、最近は見かける機会が激減している。しかし、昨年度から導入が始まったトヨタの「カムリ」捜査用覆面に同種のものが装着されている例が多数目撃されており、他社から類似の製品を調達しはじめた可能性がある。
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