■見えないからこそもっと知りたい! 覆面パトカーの内部
一般人が覆面パトカーの内部を見る機会は稀だろう。警察の広報イベントがあれば、内部をじっくり観察することも可能だが、そんな機会は多くない。今回はなかなかウォッチが難しい覆面パトカーの内装にも踏み込んでみたい。
4.サイレンアンプ
車内には、サイレンを鳴らしたり赤色灯を点灯させたりするスイッチ類を備えた「サイレンアンプ」が装備されている(当然ながら、緊急走行できない車両には装備されていない)。ほんの少し前までは、パトライト社の「SAP500」シリーズの独壇場であった。ボタンの種類については、昇降機(警ら用)やフットスイッチの有無などによりいくつかバリエーションがある。現在はSAP500の終売により、新規車両には後継の「SAP520」シリーズが導入されつつある。SAP520では、LED警光灯との連動で複数の点滅パターンを用いたり、SDカードに録音した音声を流せたりという機能が追加された。いわゆる「1DIN」サイズで、ナビやオーディオ用スペースに収まっていることが多い。
5.メタルコンセント
赤色灯やフラットビーム、探照灯などの電装品の電源用として、2極の直径25mmのコンセント、通称「メタルコンセント」(略してメタコン)が車内に取り付けられている。主に助手席足元やグローブボックス部分に2~3個付いている場合が多い。電圧は他の電装品と同じく直流12Vである。12Vの電源といえばシガーソケットで事足りるようにも思うのだが、メタコンは端子を差し込んでネジで締めるタイプであるため、足を引っ掛けて抜けてしまうという事態を防げる。ハイエースやキャラバンなどでは、車体外板にこのメタコンが付いているものも存在する。
6.コードクリップ
ルーフに赤色灯、サンバイザーにフラットビームを装着し、足元のメタコンに電源を接続すると、車内に配線が垂れ下がる形になってしまう。それを防ぐため、捜査用車両のAピラーには配線を留めるコードクリップが取り付けられていることが多い。このコードクリップは車種により形状や取り付け位置が様々だ。また内装品であるが、サイレンアンプなどと比べて、車外からも確認しやすい点で注目の一品である。
以上、覆面パトカーのマニア的「萌えポイント」を紹介してきた。いずれもちょっとしたことであるが、細かい仕様をつぶさに観察し、その違いを楽しむのがマニアの習性というものである。
覆面パトカーが判別できたからといって、役立つことはほとんどないが、観察眼がアップすれば、退屈なドライブなどなくなることだろう。今日も安全運転で刺激的な覆面パトカーのウォッチを楽しんでもらえたらと思う。
なお、覆面パトカーを見るために警察署敷地内に立ち入ることは、正当な目的のない立ち入りとみなされ、建造物侵入罪に問われることとなるので、厳に慎まれたい。実際に逮捕された例もあるので、あくまで法とマナーとモラルの範疇で観察してほしい。
【画像ギャラリー】これぞマニア視点! 覆面パトカーの見分け方の詳細(16枚)画像ギャラリーもっとパトカーについて知りたい方は『平成~令和新時代 パトカー30年史』もご覧ください。『平成~令和新時代 パトカー30年史』はこちら
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