軽との板挟みで販売半減!? 「最小プチトヨタ」パッソ 6年目の正直と新型の行方

軽との板挟みで販売半減!? 「最小プチトヨタ」パッソ 6年目の正直と新型の行方

 販売好調なトヨタ車の中で、最近元気のないクルマがある。トヨタ最小のコンパクトモデル「パッソ」だ。初代・2代目はトヨタとダイハツが共同開発を行い、月に5000台以上を堅調に販売する売れ筋コンパクトカーだった。

 3代目は開発から生産までをダイハツが一貫して行う、ダイハツ・ブーンのOEMだ。2016年の登場から5年以上が経過し、設計の古さも見える。そして、新型コロナウィルス流行による影響もあってか、2021年9月の販売台数は949台まで落ち込んでしまった。

 このまま販売台数を減らしてフェードアウトとなってしまうのか、それともモデルチェンジで起死回生となるか。パッソの存在意義と今後の展望を考える。

文/佐々木 亘
写真/TOYOTA、DAIHATSU

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■パッソはプチトヨタであり続ける

 初代パッソのキャッチコピーは「プチトヨタ」。このフレーズを思い出すと、同時に筆者の頭の中には「パッソ プチプチ プチトヨタ~」というメロディーラインが延々と流れ続ける。

 パッソは、トヨタの機能を小さなクルマに詰め込み、当時から人気が高かった軽自動車と同程度の使い勝手を確保したクルマだった。

 2代目、そして現行型の3代目でも、このコンセプト思想は受け継がれており、特に3代目は軽自動車を得意とするダイハツが本気で作った、軽自動車に負けないコンパクトカーである。

「プチトヨタ」の愛称でブレイクしたパッソ。小さなサイズにトヨタの機能を詰め込み、軽と同様程度の使い勝手を実現
「プチトヨタ」の愛称でブレイクしたパッソ。小さなサイズにトヨタの機能を詰め込み、軽と同様程度の使い勝手を実現

 パッソの存在意義は、小さいことにある。ボディサイズはもちろん、価格も小さい(安い)。そして軽自動車ではなく登録車であることに意味がある。

 他のトヨタ車とは違い、海外を意識せず、ライバル視するのは国内の軽自動車だけだ。

■軽とヴィッツ、アクアに挟まれる?しかし、性能は軽自動車寄りのクルマだ

 パッソは軽自動車と勝負したいはずなのだが、自身のパッケージングがそれを許さない。登録車であるために、自ずとヤリスやアクアと比較されることが多くなる。

 パッソのボディサイズは、全長3680mm(MODAは3680mm)×全幅1665mm×全高1525mmだ。ヤリスは全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mmだから、全長で260mm、全幅で30mm短くなる。

 対して軽自動車は、規格いっぱいのボディサイズにしても全長3395mm、全幅1475mmだ。したがってパッソの方が全長で285mm、全幅190mm大きくなる。軽自動車、パッソ、ヤリスの順に、全長が約30cmずつ長くなっていく関係だ。

パッソのボディサイズは、全長3680mm×全幅1665mm×全高1525mm
パッソのボディサイズは、全長3680mm×全幅1665mm×全高1525mm

 取り回しの良さを示す最小回転半径に、この30cmの差が大きく出る。多くの軽自動車が4.4mなのに対し、パッソは4.6mだ。ヤリスでは14インチタイヤ装着で4.8m、売れ筋の15インチタイヤモデルでは5.1mまで大きくなる。登録車の中では、パッソの取り回しの良さが軽自動車に最も近い。

 この操作性の高さと、軽自動車の660ccエンジンよりも、動力性能に余裕がある1.0Lエンジンを搭載するのが、パッソの利点だ。

 ヤリスを軸に比較すると、軽自動車とヤリスに挟まれた存在で、スペックとしても中途半端に見えてくるが、軽自動車では少し物足りないというユーザーから見れば、パッソは格好の乗り換え候補である。モデル末期となり、性能的なマイナス点が目につくが、唯一無二のボディスペックや取り回しの良さは、現在も健在だ。

 ヤリス・アクアが海外を視野に入れ、走行性能に磨きをかけるべく、ボディサイズやタイヤサイズを大きくしている状況をみれば、パッソが国内市場で生き残っていく術はまだまだあると考える。特異なスペックを中途半端ではなく、一つの個性としてメーカーや販売現場が扱うようになれば、パッソが息を吹き返す日も近いのではないだろうか。

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