「鳴り物入り」の新型Cクラスをベストカー編集部がレビュー!!! 意外と辛口評価??

■評論家陣は新Cクラスをどう見たか?

●自動車評論家 鈴木直也はこう評価した

 新しいCクラスは、だいたい乗った人はみんな「まるで小さなSクラスじゃん!」と評価するんだけど、ぼくも基本的に同感。

 エクステリアデザインはもちろん、内装のキラキラ感、先進的なADAS、それからSクラス譲りの後輪操舵システムなど、FR系の末っ子とは思えない贅沢装備満載。

 ベンツ慣れしたお客さんでも「日本の狭い道にはこっちのほうがいいかも?」と納得させちゃう商品力がある。

 そういう意味では、これが600万円台から買えるのはお買い得。御三家ライバルのBMW3シリーズやアウディA4と比較しても、むしろ割安に感じられる。

 ただ、昔のベンツを知る人にとっては、ベンツらしい走りの重厚感がいまひとつなのがちょっと不満。

 1.5L直4のダウンサイズターボは204ps/30.6kgmとなかなかのスペックで、9速ATとあいまって走りはパワフルかつ軽快。

 マイルドハイブリッド(ISG)のおかげで普段は2速からしずしず発進するなど、ドライバビリティもとっても上品で、一般的にはほとんど文句のつけようはない。

 ところが、走れば走るほど「もうちょっとしっとり重厚感があったほうがいいんじゃないかなぁ」という思いがつのるんですよ。

 これは、エンジンと同様に軽快感重視のシャシーセッティングにも原因があるのだが、クルマが常にドライバーの意図を瞬時に反映しようと待ち構えてる感じ。

 アクティブに走りたい時はいいんだけど、まったりクルージングなんかはちょっとせわしなく感じるような雰囲気があるのよね。

 メルセデスは2025年以降に発売する新型車をぜんぶEVにするって宣言してるけど、内燃機関車の走りの味付けも、徐々にそっちに寄せて行ってるのかもねぇ。

「1.5L 直4のダウンサイズターボはパワフルで、ドライバビリティもとっても上品。でも走れば走るほど重厚感が欲しくなる」と評した鈴木直也氏
「1.5L 直4のダウンサイズターボはパワフルで、ドライバビリティもとっても上品。でも走れば走るほど重厚感が欲しくなる」と評した鈴木直也氏

■鈴木直也の評価 ※5点満点評価
・パワー感…★★★★☆
・ハンドリング…★★★★☆
・お買い得度…★★★★★

●自動車評論家 渡辺陽一郎はこう評価した

 C200のエンジンは設計の新しい直列4気筒1.5LターボのM254型だ。以前のM264型1.5Lターボは、上級のE200でもノイズの粗さを感じたが、M254型は洗練されて滑らかになった。

 最大トルクは30.6kgm(1800~4000回転)だから、3Lの自然吸気エンジンに匹敵。エンジン回転の上昇に伴って、加速力が少し過剰に高まるターボの特性を感じるが、発進直後の1400回転付近から過給効果が生じて運転しやすい。

 試乗車はオプションのリア・アクスルステアリングを装着していた。時速60km以下では後輪を前輪と逆の方向に向けて、最小回転半径は5mに収まる(非装着車は5.2m)。時速60km以上では、後輪を前輪と同じ方向に向けて後輪の接地性を高める。

 逆位相では、後輪が外側へ引っ張られるような感覚が生じるが、扱いにくいことはない。また昔の後輪操舵では、逆位相の速度域で危険を避ける時などに、後輪の横滑りが拡大することもあった。

 Cクラスにこのような悪影響はない。オプション価格は14万5000円と微妙だが、新車価格が600万円を超えるクルマだから装着するといいだろう。

 それでも以前からメルセデスベンツが好きだった人には、新型Cクラスはスポーティに行き過ぎた印象。

 舵角が小さな状態から、車両は正確に向きを変えて一体感を味わえるが、乗り心地は時速50km以下で路上の細かなデコボコを伝えやすい。

 突き上げ感は抑えたが、以前のメルセデスベンツで魅力だったリラックスできる上品な運転感覚は薄れた。

 これは今のメルセデスベンツ全体に通じる傾向で「BMWを選んでも同じではないか」と思わせる。

 クルマが進化するとメーカーやブランドを問わず、安全に直結する後輪の接地性を優先させた上で、正確に曲がる方向へ集約されていく。

 走りの個性が薄れるのは当然だが、それではメルセデスベンツのようなブランドを選ぶ価値も薄れる。1.5Lターボに654万円を投じるなら、もう少しメルセデスベンツらしい重厚で落ち着いた乗車感覚が欲しい。

「以前からメルセデスベンツが好きだった人には、新型Cクラスはスポーティに行き過ぎた印象」「以前のメルセデスベンツで魅力だったリラックスできる上品な運転感覚は薄れた」と評した渡辺陽一郎氏
「以前からメルセデスベンツが好きだった人には、新型Cクラスはスポーティに行き過ぎた印象」「以前のメルセデスベンツで魅力だったリラックスできる上品な運転感覚は薄れた」と評した渡辺陽一郎氏

■渡辺陽一郎の評価 ※5点満点評価
・パワー感…★★★★☆
・ハンドリング…★★★☆☆
・お買い得度…★★★☆☆

*   *   *

■ベンツC200アバンギャルド 主要諸元
・全長:4785mm(AMGライン)
・全幅:1820mm
・全高:1435mm
・ホイールベース:2865mm
・車両重量:1700kg
・最小回転半径:5.2m(リア・アクスルステア装着車:5.0m)
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・総排気量:1494cc
・最高出力:204ps/5800-6100rpm
・最大トルク:30.6kgm/1800-4000rpm
・モーター出力/トルク:20ps/21.2kgm
・トランスミッション:9AT
・サスペンション:4リンク式/マルチリンク
・タイヤサイズ:F:225/45R18、R:245/40R18
・WLTCモード燃費:14.5km/L
・価格:654万円

【画像ギャラリー】まさに「ミニSクラス」。メルセデス・ベンツ新型Cクラス試乗の様子をギャラリーでクイックチェック!(17枚)画像ギャラリー

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